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「歴史ある建造物の実験所」劣化激しく保存困難 [建物の構造]

昭和初期に建てられた東京大学臨海実験所(神奈川県三浦市三崎町小網代)旧本館と水族室標本展示室の解体計画を巡り、保存を求めていた三浦市に対し、実験所が「困難」と回答していたことがわかった。

市によると、実験所の岡良隆所長が8日、〈1〉建物の劣化が激しく、耐震工事も難しい〈2〉教育研究活動を継続させるためには、新施設を整備する必要がある――などとする書面を市に届けたという。一方で、市と連携して整備した展示室については、新しい施設に引き継ぐ考えも示されたという。

2棟は、旧東京帝大総長で東大安田講堂を手がけたことでも知られる建築家の内田祥三が設計に関わったと伝わり、市は「歴史ある建造物」として実験所に保存を働きかけていた。2018/06/14日 読売

東大臨海実験所の旧本館.jpg

解体される予定の東京大学臨海実験所

内田祥三に関し筆者は殆ど知らなかった。知っていることと言えば内田祥哉の父親と言う事くらいであった。内田祥哉は「建築生産」という言葉を作った位、建築業に「製造業」のようなシステム化を行ったので有名である。現在、学士院会員。

従って内田祥三は記事にある、東大総長とか安田講堂の設計者であることを初めて知った。写真の臨海実験所は確かに安田講堂に似ているような建築様式であり、建築学会と市も加わって保存を要望するのも宜なるかなである。

しかしながら東大の答えは「困難」であった。理由の2番目はよく分からないが、1番目については疑義がある。耐震改修が出来ない、という事はないと筆者は考える。ただし工事費やコストは通常の改修よりはるかに掛るだろうが。

例えば「免震レトロフィット」という方法がある。建物の基礎下を掘削して空間を確保し、そこの免震装置を設置する方法である。この方法は工事費やコストが掛るので、余程保存する価値がある場合に行われる。或いは執務しながらの改修であり、引越しが不要なので、その様な条件で行われることがある。

保存目的(と営業を続けること)で行われたれ例は、東京駅があげられる。東京駅は日本の「顔」と言ってもよいが、建築的価値は非常に高い。「免震レトロフィット」に合わせて、太平洋戦争で焼け落ちた3階部分の復元もしている。

免震化すれば地震力はおよそ1/3以下になるので、既存建物部分は殆ど耐震補強が要らないのである。何故、東大は「免震レトロフィット」を考えなかったのであろう。おそらく工事費やコストのせいなのだろうが、そうであるならば、はっきりと弁解すべきであろう。

建築生産の権威、内田祥哉はどう思っているのだろうか?

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床材厚さ不十分、中学校舎も…立川市が全調査へ [建物の構造]

1963年に完成した東京都立川市立第五小の校舎で、床や天井に使われる鉄筋コンクリート製の板「床スラブ」の厚さが十分ではない欠陥が見つかった問題で、市立立川第一中でも同様の欠陥が見つかったことが市への取材でわかった。

市は、五小や一中と同時期に建設された学校でも、類似した欠陥がある可能性が高まったと判断。市立の小中13校で、2500枚を超える床スラブの全てを調査する。

大規模改修中の五小で昨年12月、設計書に記載された厚さ11cmより薄い床スラブが見つかり、問題が発覚した。市が詳しく調べたところ、校舎に使われている床スラブ126枚のうち31枚が、建築基準法で定められた規定に達していなかった。最も薄い部分は6.3cmだった。2018/06/02 読売

スラブは人や物を積載し、重力に耐える重要な機能を要求される。近年では前のブログで紹介したが、集合住宅では上下階の遮音や振動を伝えないような、環境学的な昨日も重要である為、必然、スラブの厚さは最低22cmとなったのである。

記事では調査した結果、最小6.3cmの床スラブもあったようだ。建築基準法施行令では

(床版の構造)
第七十七条の二 構造耐力上主要な部分である床版は、次に定める構造としなければならない。ただし、第八十二条第四号に掲げる構造計算によつて振動又は変形による使用上の支障が起こらないことが確かめられた場合においては、この限りでない。
一 厚さは、8cm以上とし、かつ、短辺方向における有効張り間長さの40分の1以上とすること。

なお「第八十二条第四号」とは国土交通大臣の認定を受けるとである。当時床スラブで大臣認定を受けるのは考えられないから、記事の通り建築基準法違反の可能性が高い。

スラブを支える梁(小梁)の間隔は分からいが、それにしても6.3cmでは通行すると明確に「撓んでいる」事が分かったはずである。学校だから生徒も集中して載るであろうし、勉強中に脇を通行されると、床振動が相当気になったはずなのだが、今頃問題になったのはどうしてなのだろう。

建設したのは東京オリンピック前で、日本中が建設ラッシュの時だから資材調達は大変であったと言われている。まさかコンクリート(現場練りだからセメント)を節約するために薄くしたのではないだろうか?

なお今までスラブが重みに耐えられずに済んだのは、床が撓み「カテナリー曲線」となったためである。「カテナリー曲線」とは吊り橋に用いられるケーブルのカーブの事である。例えば厚さ6.3cmのスラブも5.7cm撓めば、強度としては(振動は別)厚さ12cmのスラブと同じになる。

大規模改修中だそうだが、コンクリート強度が少ない場合耐震補強も限界があるから、果たして改修が良かったか疑問である。

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スチフナ、母材の強度を発揮させる2次部材 [建物の構造]

スチフナとは写真の→に示すように、主に成(高さ)のある梁に取り付けるプレートの事である。H形の柱にも付けることがあるが、やはり大スパンの梁に設置することが多い。写真の梁の成は1.5mくらいで、スチュフナも約1.5m間隔に着けられていた。

スチフナー.jpg

橋梁に設置されたスチフナ

大スパンの場合には当然成のある梁であるが、梁としては「ラチス梁」と「充腹梁」或いは「アーチ」などが考えられ、このうち「充腹梁」に設置するのである。梁の断面形状はH形であるが、少しでも鉄鋼量を減らすには成を大きくするのが合理的だ。

「フランジ」の断面積が同じ場合、梁の強度は「成」に比例し、撓み量は「成」の二乗に反比例するからである。従って成のある「ウェブ」の鉄鋼量を減らすには厚みを薄くすることになる。しかし薄くすると「板座屈」というウェブが面外に曲がってしまう現象が起きるのである。

この面外に曲がるのをスチフナで押えるのである。当然スチフナを多く設ければウェブの強度は母材強度の近くなって座屈は起こらないが、今度はスチフナのコストが高くなってしまうので「損益限界点」のようなところが、およそ成と同じ間隔に設けるのであった。

写真の梁はH形の形状であるが、橋梁にはボックス形状のものがあってスチフナは見えない。しかしボックスの中には一定間隔でスチフナが入っているのである。梁の製作上スチフナには人が通れる「マンホール」が明いている。ボックス梁にスチフナがあるのは丁度「竹」と同じである。

竹は円筒であるが「節」があり、筒がつぶれないようになっているのである。竹は強風が吹いても大きく撓う(しなう)がなかなか倒れない。節があることによって竹の持っている強度を最大限に発揮できるのである。人生の「節目」もしかりである。

結婚式は人生の大きな節目だから、祝辞でスチフナの話をしたら助言になると思うのだが、多分誰も理解してくれないだろう。

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耐震性不足の建物設計-1級建築士5人の免許取り消し、国交省が懲戒処分 [建物の構造]

国土交通省は21日、耐震性が不足する一戸建て住宅を設計したとして、小島久雄氏ら1級建築士5人の免許を取り消す懲戒処分にしたと発表した。処分は14日付。ほかに取り消されたのは中村光利氏、橋本佳邦氏、佐々木茂氏、桜井健司氏。

国交省によると、5人は旧埼玉県民共済生活協同組合1級建築士事務所(現県民共済住宅)が受注した木造一戸建て住宅について、十分な壁を用いずに耐震性が不足する設計を行ったという。2017/12/21 産経

国交省の報道によれば5人は何れも「構造設計」において「耐震規定」を満たさない設計をした、として処分を受け、1級建築士免許を取り消された。ちなみに小島久雄50物件(登録番号161330)、中村光利13物件(110004)、橋本佳邦27物件(141974)、佐々木茂12物件(149245)、桜井健司17物件(185148)で建築基準法違反を行った。

違反の内容は耐震規定の「壁量不足による耐震性の不足等」となっているが、この壁量とは一般木造建築の場合、「筋交い」及び「耐震ボード」の事である。「筋交いとは」柱と柱の間に入れる斜めの木材(多くは90×45mm以上)で、「耐震ボード」は例えば厚さ9mmの構造用合版である。

本来、耐震検討には建物の構造モデルを設定し、建物の重量、地震力を決めて解析して、建物の構造耐力(保有耐力)が基準値を満足しているかを検討するものである。今では大部分がPCを使って行っている。しかし木造の場合、PCを使っての計算は時間が掛ることから簡易化して、「筋交い」又は「耐震ボード」が建物の1階、2階にどれだけ配置されているかを計算すればよい事になっている。

どれだけの壁量が必要かは建物の重量(重い屋根や壁があるかなど)と各階の床面積で決まっている。例えば重い瓦屋根で、外壁がモルタル下地のタイル張りならば重い家なので、2階では床面積当たり21cm/m2、1階では33cm/m2以上の「壁量」が必要となる。1981年(新耐震設計法)以前に比べおよそ1.4倍大きくなっている。即ち新耐震設計法以降では地震力に対してそれまでより1.4倍強くなっている。

今回一級建築士免許を取り消された5人は、登録番号から推定すると60歳以上に思われ、超ベテランの設計仕のはずである。従って壁量が少ない設計は「確信犯」であって、単純な設計ミスではないと考えられる。そもそも壁量計算事態、難しくは無いのである。

何故この様な違法を行ったかは定かではないが、考えられるのはデザインとして大きな窓が設計されており、壁部分が少なかったからと思われる。大抵のデザイナーは窓を大きくしたがるものだが、構造的な検証は専門にまかせている。任せられた構造担当者はデザイナーの「下請」であれば従うしかなく、耐震性を無視したのだろう。

このブログでも紹介したが、大きな開口がある場合、木造でも「木造門型フレーム」の部材があるがコストは高い。デザイナーが大きな窓は豊かな空間を作り出すから多少のコスト増を建築主に説明し認めさせればよいのである。しかし「下請だから意見を言えない」或いは「時間が無い」から検討しなかったかもしれない。

熊本地震では木造の被害により多くの人命が失われた。たとえ建築基準法通りに作られていても、2度目の大地震時では倒壊してしまうのである。その事を目の当たりにして建築界では基準法の1.5倍の強さの建物とすべきとの考えに向かっている。

今回の処分対象はどれも10年以上も前に建築した建物であるから、もしかしたら上記の5人は新耐震設計法以前の規準には合致しているからと、違法を知りつつ設計したのかもしれない。しかし熊本地震を知った今、どの様に自らの罪を悔いているのであろうか?

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静岡県立中央図書館ひび割れ-数十カ所、最長3m [建物の構造]

静岡県立中央図書館(築48年)の資料棟で蔵書の過重によるとみられる複数のひび割れが見つかった問題で、県教委は3日の記者会見で、1階書庫の天井部に数十カ所に及ぶひび割れが確認され、最長3m、最大幅1.4mmとの状況を明らかにした。

県教委によると、図書館は2001年に補強工事を実施し、柱や梁(はり)は健全という。ただ、万全を期すために4日から3~4カ月間休館にし、2階閲覧室の蔵書を移動した上でカーぺットをはがし、床の詳しい状況を調べる。閲覧室の床は厚さ120~150mmで、1m2当たり300kgの荷重に耐えられる設計だが、倍近い560kgの荷重が掛かっている状態という。追加の対策が必要になった場合は休館がさらに伸びる可能性もある。河原崎全館長によると、図書館は利用者の多い土日や夏休みには1日900~1000人の利用がある。2017/7/4 静岡新聞

静岡県立中央図書館.jpg

1階天井で確認されたひび割れ(県教委提供)

鉄筋コンクリート造の床スラブのたわみについてはかなり以前より問題となっており、建築学会の鉄筋コンクリート構造設計基準では昭和60年の改正時に、床スラブの厚さを規定している。又、大梁の中に小梁が掛けられた床構造では、小梁の剛性が小さいと大梁に囲まれた範囲で「大たわみ」が生じる事から、この検討もするよう定められた。

記事の建物は改正規準の適用前の建物であり、それも用途が図書館で積載荷重が大きい事から、たわみが進行して、更にはスラブにひび割れが入ったのである。スラブ(コンクリート構造)がゆっくりとたわんでいく現象を「クリープ」と言う。鉄筋コンクリート構造はコンクリートが圧縮力を負担し、引張力は鉄筋が負担して「曲げモーメント」に抵抗する。鉄筋は経年的に(腐食は別として)変化しないが、コンクリートは微小に収縮する。これが「クリープ」である。コンクリートの成分には「水」と「空気」が入っているので、圧縮力が続くと「水」が抜け、空気が収縮することが原因である。

研究成果は簡単にいえば、スラブを厚くすること、小梁の剛性を高めることである。又、基本的には不要な圧縮側部分にも鉄筋を「用心」以上に入れる事である。スラブの場合、撓み量の制限は「スパン」の1/250であるが、クリープはおよそ16倍になるので、設計時には1/4000の確認が必要である。

ところで建築基準法施行令第85条では積載荷重が規定されているが、書架は800~1200kg/m2であり、記事中の1m2当たり300kgでは全然足らないし、現状が560kgと言うのは当然ともいえる。なおスラブはたわむと「逆アーチ」となり構造上は有利になるので、床が直ちに落ちる事は無いと考えられる。

昭和60年の改正に当たっては、スラブに荷重を架け続けた実験を10年以上にわたって行った研究者の成果が取り入れられた。地味な実験を10年以上も続けると言うのは、今の様な研究予算が削られている状況ではもうできないであろう。

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立体駐車場から車転落-設計指針は守られたのか? [建物の構造]

31日午後1時ごろ、神奈川県横須賀市小川町の立体駐車場「サイカヤパーキング」の5階から、ワンボックス車が転落したと119番通報があった。県警横須賀署によると、車に乗っていた3人が死亡し、2人が重傷を負った。

車は駐車位置から後進して高さ120cmのフェンスを突き破り、約13m下の道路に転落したとみられるという。他にけが人はいなかった。現場近くの精肉店で働く女性は「ドカーンという雷のような音がして外に出てみると、タイヤが上を向いていて、車が半分つぶれていた」と話した。現場は京急横須賀中央駅から約500m北の繁華街。2016/12/31日 朝日(写真も)

ワンボックスカーが15m転落.jpg

やや旧聞に属するが、大晦日に痛ましい事故が発生した。原因はブレーキとアクセルを踏み間違えた運転ミスと報道されていた。最近特に老齢者による運転ミスによおる事故が多発しているので、同じような事故として扱われた。

筆者には建築構造の立場からコメントしたい。建築物としての駐車場の場合、自動車の転落事故を想定して設計指針が定められているのである。国土交通省の設計指針では、

(1) 装置等の設置
自動車の衝突による衝撃力を処理することのできる装置等を駐車の用に供する部分の外
壁に面する側、車路に供する部分の屈曲部等誤操作による自動車の転落を有効に防止で
きる位置に設置すること。

(2) 装置等の構造の設計
装置等の構造の設計をするに当たっては、次の①に掲げる衝撃力等を用いて②又は③
に定めるところにより安全を確かめること。ただし、実験により装置等が衝撃力を充分
吸収できることが確かめられた場合においては、当該装置等を用いることができる。

① 装置等に作用する衝撃力等は、次に掲げる数値によること。
ア 衝撃力:250kN(25ton)
イ 衝突位置:床面からの高さ60cm
ウ 衝撃力の分布幅:自動車のバンパーの幅160cm
そして自動車による衝撃力は下図に示されている。
 ②③省略

自動車の衝撃力.jpg

要するに「車止め」だけでは駄目で、ネットフェンスではこの様な衝撃力を受け止められるはずはないのである。鉄骨で設計すると、2本のH175×175×7.5×11の柱が必要である。柱は片持ち梁であるが、固定するにも十分力が伝わるよう、詳細設計が必要である。横桟の設計も行う事になる。

ところで或るデパートに車で行った時に感心したことがあった。構造はSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)で、外周の梁が「逆梁」になっているのである。梁は通常床スラブの下に配置されるが、「逆梁」とは梁の下端でスラブを支える梁のことである。つまり梁形はスラブの上に出ているのである。

とあるデパートの駐車場.jpg

あるデパートの駐車場(Googleマップのストリートビュー)

「逆梁」は高層マンションでも使われていて、手摺代わりになる。そして室内から見ると梁形が無いから窓は天井まであって、解放感が得られる。件の駐車場はこの出っ張った梁が車の衝撃力を受け止めるのであった。合理的である。

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超高層ビルにおける隅柱-日本長期信用銀行ビルの行く末 [建物の構造]

前のブログ「超高層ビルにおける隅柱-隅柱を無くすのはデザインなのか?」を書いていて思い出したのが、ヤジロベエ(弥次郎兵衛)のような高層ビル、日本長期信用銀行ビルのことであった。延床面積:60,281 m2、地上22階地下5階、高さ130mで1993年に竣工した。竣工当時は大胆な構造デザインが話題となった。

新生銀行本店ビル.jpg

その後日本長期信用銀行はバブル時の債務返済が叶わず、新生銀行になり、2010年には銀行は移転し、東急不動産等に土地建物は売却された。そして2013年に解体され、新たに事務所ビルの建設となっていた。

1993年に竣工と言うのはバブルの時の建物(建設業はタイムラグがある)であり、デザインを競い合うような建物が多かった。その中でも日本長期信用銀行ビルはかなり際立っていたのである。建物の両側が約20mも跳ね出しており、不安感に対しては土木の橋の様な梁が下部と最上階にそのまま外装のデザインとなっていて安定感を感じさせる、という設計者の意図であろう。重力は建物の設計において最も「基本的な荷重」である。

しかし筆者には違和感があった。それは前にも書いたが、江戸東京博物館は屋根ではあるが40mもの片持ちとなっている。地震時の上下動だけでなく、建物の長手方向の水平力で建物本体の変形が、片持ちの先端では大きく変位することになり、なんと上下方向に最大2G(19.6m/sec2)が生じると予測されたのである。

もし人が立っていれば、仮に2Gが1秒間作用したとすれば天井に向かって19.2m飛びあがってしまう。又、江戸東京博物館は貴重な展示物が多く、中地震でも展示品が飛散してしまうのである。その為、床は電車に使われている空気ばねで支持されているのである。

筆者の違和感はまさにこのことで、もし大地震が起きたら、約20mも跳ね出している部分はどのようなことになるのだろうと。大地震ではなくとも、例えば東日本大地震時には東京でも震度Ⅴであったから、もし営業していたならばどのようであったろうか、まだ、解体されてはいなかったので、誰か知っているのではないだろうか?或いは地震計があったかもしれない。

又、低層階は高層階の60%程度の面積である。地震ははあらゆる方向に振動するから、この建物は平面的にも捩れ運動をするのではないか?特に東日本大地震は東京において長周期地震動であったから、片持ち先端に実際に人がいたらどのような恐怖を抱いたのだろう。

まだ23年しか経っていないこの建物は、機能的に現代にマッチしていない、とは思われない。取得した東急不動産等が解体し、新たなビルを建てる理由の一つには「レンタブル比」を上げることがあるかもしれないが、筆者には構造的な原因があったと思うのである。なお新しいビルは建築主との繋がりがあるのだろうが、設計者、施工者共に代わっている。

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雁行形の建物の耐震性 [建物の構造]

街を歩いているとたまに雁行している建物に出会うことがあり、主に集合住宅であるが、例えば解体された赤坂プリンスホテル(雁行でかつL形)や事務所ビルでも見かけることがある。敷地の形状とアプローチや空地、駐車場などの関係で雁行しているのであろう。

赤坂プリンスホテル.jpg

雁行している建物は、デザイン(意匠)的には外観に陰影がついて面白くなることはある。集合住宅でいえば、例えば板状の平面だと、表側は全く同じ窓や手すりが並び、反対の片廊下では手すりだけが見える単調な外観となる。だからデザイナーはベランダの手すりを格子やガラス、あるいは方立の色彩を変えてみるなど、少しでも「個性」を出そうとしている。

即ち建物の外観としては、種々の制約から仕方なく雁行している建物の方が良く見えることがあるのは面白い。筆者はデザイナーではないが、たまにデザイナーが建物の設計主旨で、「敷地形状を生かして」といった説明を目にすることがある。つまり「制約」があった方がデザインを決めやすい、という側面が設計行為にはあるのだろう。

何故雁行の建物について書こうとしたのは、筆者は構造屋だから雁行している建物には地震時の挙動が気になるのである。つまり「整形」では無い建物は地震に対しての検討で、X方向、Y方向に分けて評価すれば良いものではないのである。

先にあげた赤坂プリンスホテルは平面的にはL字である。鋼材でいえば「アングル」で、このアングルの断面性能は3種類ある。即ちX方向とY方向は同じで、他に45方向と135度方向である。この中で最も断面性能が小さいのは135度方向で、およそX(Y)方向の40%程度(断面二次モーメント)しかない。

赤坂プリンスホテルでは当時としては初めての3次元の時刻歴応答解析を行っている。当然予想された通り、135度方向が最も建物が変形することが検証されている。赤坂プリンスホテルは丹下健三の設計であるが、敷地は広く何もL字の建物にすることはないのだが、デザイン的な主旨での設計であった。しかしそれを実現するためには新たな解析手法を開発する必要があったのである。

3次元の時刻歴応答解析などは一般ではないから、通常の雁行建物ではやはりX方向、Y方向に分けて計算することになる。この場合雁行している「入隅」部の梁の支持条件が重要となる。「入隅」部に柱があれば特に問題はないだろうが、マンションでは「柱型」があると使い辛い。

そうなると直行する梁に支持させることになるが、この場合は「ピン支持」とすることになる。しかし鉄筋コンクリート造で完全な「ピン支持」のディテールは無理だろうから、直行する梁には「捩りモーメント」が生じることになる。常時荷重はともかく、大地震の時どのようなことになるのか、筆者には気になるのである。

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超高層ビルにおける隅柱-隅柱を無くすのはデザインなのか? [建物の構造]

最近、建物の四隅に柱が無い超高層ビルを見かけることがある。例えば次の写真「東京日本橋タワー」である。

日本橋タワー.jpg

地下4階、地上35階/高さ180mのこのビルオフィフ用貸しビルである。柱の垂直性を強調したデザインであり、又、外周の梁形も窓より出ているのは、遮光、つまり冷房時の省エネを考えてのことであろう。

デザインのことは置くとして、構造屋の筆者には「隅柱」が無い事に引っかかってしまうのである。「隅柱」は地震時や台風時におそらく柱の中で最も応力が発生する部材である。逆にいえば「最も重要な部材」とも言えるのである。

建物の構造計算は通常、平面的にX方向、Y方向各々別に基準で定められた「同じ地震力」に対して計算する。しかし地震は建物の方向に関係なく振動するから、隅柱には2方向の地震力が同時に作用することを検討する必要がある。

通常「同じ地震力」を45度方向に作用するものとしてベクトル分解し、X方向、Y方向各々の70.7%の「同じ地震力」が作用して得た応力を合算して、隅柱の部材算定を行うのである。すると「隅柱」の「隅部」は単純に「応力度」は1.414倍となる。
従って部材を大きくする必要がある。部材を大きくすると剛性が高くなり、応力が増えることになるので、注意が必要である。又、部材が鉄筋コンクリートの場合には、軸力変動も加味して2軸曲げモーメントやせん断力の照査が必要となる。つまり構造設計者にとっては「隅柱」は悩ましいと同時に「腕の見せ所」なのである。

しかし先の写真のように隅柱が無くなってしまうと、隅柱の問題はほとんど無くなってしまう。構造設計者にとっては厄介者がいないので、構造設計は明快となり、又、デザイナーにとっても、室内から見たら隅に柱が無いと視界を邪魔しないから眺めが良い。マンションであればリビングに最適の場所となって、宣伝文句に使えるのである。

ここで初めに戻って、構造屋の筆者に「隅柱」が無い事に引っかかってしまうのは、やはり建物の四隅には頑強な柱があった方が良いのと思うからなのだ。隅柱があれば接合している梁の剛性にもよるが、建物の外周が鳥かご状の「チューブ構造」になり、多くの超高層ビルで採用されているのである。

超高層ビルでは「地震荷重」より「風荷重」のほうがより大きな応力が生じることがある。その場合四隅の柱には大きな引き抜き力が生じる。これに抵抗するには、建物荷重全てを四隅で支える構造が最も合理的である。その代表例が「横浜ランドマークタワー」なのである。

横浜ランドマークタワー.jpg

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屋根裏収納部の設計 [建物の構造]

終の住処では住宅展示場にあった階段つきの屋根裏収納部屋を設けた。斜線制限から屋根を高くすることが出来なかったので、「棟木」がどの程度になるかを自分で計算して、部材を決めたのである。

屋根裏収納部の設計.jpg

屋根裏収納.jpg


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