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穴に生き埋め、31歳作業員死亡-宮崎鉄塔建設現場 [建築事故]

15日午前10時20分ごろ、宮崎県高千穂町押方の鉄塔建設現場で、支柱を立てる穴の土砂が崩れ男性作業員が生き埋めになった。高千穂署によると、男性は九州電力の下請け会社社員、柴山歓也さん(31)=鹿児島県出水市中央町=で、病院搬送後に死亡が確認された。

九州電力によると、穴は直径約2.4m、深さ約2mで、柴山さんは土の崩落を防止するプレートの取り外し作業のため、1人で中に入り作業していた。高千穂署は土砂が崩れた原因を調べる。2018/5/15 産経

どこで、どのくらいの規模の鉄塔なのか情報が少ないが、おそらく山岳地でかなりの高さの鉄塔に思える。問題の穴は「深礎杭」の為のもので、基礎コンクリートを打設後、山留めとしてのライナープレートを撤去した時に土が崩壊したのであろう。深礎杭に関してはこのブログでも解説しているので参照されたい。

深礎杭は半円形(もしくは円周の一部)のライナープレートを組合せ、アーチ効果によって土砂の崩壊を防いでいる。通常50cmづつ掘削してはライナープレートを設置して行き、所定の深さまで掘削したら、中で鉄筋かごを組み立て、コンクリートを打設して基礎杭を作る。この時、基本的には50cmづつコンクリートを打設しては、ライナープレートを外していく。

しかし作業が面倒なことから、一気にライナープレートを外してしまう事が多い。勿論地盤が良い事を確認して行うのだが、今回の事故は十分な地盤の観察をせずに施工性だけを考えて撤去した為、崩壊した事故と思われる。

深礎杭は基本的に人力で掘削するから、山岳地等杭打ち機が入らないような場所に適用されている。今ではかなり小型の杭打ち機が開発されているから、街中の狭いところでも深礎杭を採用することはめったに無い。又、今では深礎工は日本全体でもかなり少なくなっているのではないか。つまり熟練した深礎工は少なく経験の浅い作業員と、ゼネコ担当者も経験が無くてこの様な事故を起こしたのではないだろうか?

もし筆者の考え通りであったとしたら、人里離れた山岳地で十分な機械などの設備も無く、ゼネコ担当者も果たして常駐していたかもう疑わしい状況での事故である。街に電力を供給するためには必要な工事である。亡くなられた作業員のご冥福を祈念する。

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点検も誘導もなしのずさん管理-遺族「何か一つでも対策あれば…」 [建築事故]

東京・六本木で平成28年10月に起きた鉄パイプ落下事故は、足場の安全点検を全くしておらず、歩行者の誘導も行っていないなど、業者側のずさんな管理態勢が明らかになった。死亡した飯村一彦さんは、大手建設会社で現場監督を務めた経験もあり、いわば業界の“先輩”だった。妻の冨士子さんは「何か一つでもきちんと安全対策がなされていれば、事故は起きなかったのでは」と唇をかむ。

平成21年に改正された労働安全衛生規則では、転落事故などの労働災害防止のため、作業前に毎回足場の安全確認をするよう義務付けられた。しかし、事故が起きた現場では、足場を組み始めた28年6月4日以降、点検は一度もされないままだった。事故当日も、前日の作業で外していた鉄パイプの留め具の確認がなされておらず、計10カ所の留め具が外れていた。

関係者によると、同年9月から現場監督になった男性は作業日報をつけていなかった上、歩行者を誘導する警備員に対しても荷降ろしの際に歩行者を止めるよう指示を出していなかった。防犯カメラの映像で警備員がいたことは確認できたものの、誘導棒は持っておらず、歩行者の誘導もしていなかったという。

遺族側はこれまで、「事故の真相を知りたい」と独自に再現実験を実施してきた。冨士子さんは「誰もが被害者になり得る事故だ。二度と同じ悲劇を起こさないよう、国は安全基準の見直しを進めてほしい」と訴えている。2017/12/21 産経

【鉄パイプ落下事故】.jpg

鉄パイプが落下し、歩行者の男性が死亡したマンション工事現場

本ブログで1年前に取り上げた事故であるが、ようやく工事現場の所長と2次下請負業者社長が書類送検された。改修工事はとうに終わっているはずだが、事故の原因解明と責任の所在を明確にするのは相応の時間が掛ったという事なのであろう。

前のブログでは主たる原因は「事故現場では"朝顔"と通称される落下物を受ける養生材が付けられていたが、足場の解体材を降ろすために部分的に外していた様である。本来であれば朝顔は残したまま、朝顔越しに足場材を下すべきであった」と推定していた。

今回の報道ではそのことに触れておらず、落下したパイプの「留め金具」が外れていた、というのが主原因としたようである。「留め金具」とは何か正確ではないが、筆者が考えるのは鉄パイプ(単管)を20本づつの束にするための金具の事なのだろう。しかしそうであれば、その留め金具が外れている状態は一目瞭然であり、それを確認しない「玉掛け者」の責任の方がよほど重いのではないだろうか?

又、警備員(交通誘導員)が本来の誘導行為をしていなかった、とされているが、パート募集で警備員(交通誘導員)の募集を見かけるが、本来は警備業法に定められた国家資格の内、交通誘導警備業務検定を受けたものが少なくとも一人常駐する必要がある業務なのである。おそらく件の警備員はパートで雇われた者なのであろう。

現場所長には統括責任があり、又、「朝顔」を外しての作業計画の承認、現場担当者には安全指示、作業中確認、下請負の社長には作業員の監督・教育、作業員には毎日の点検、安全作業、警備員には交通誘導警備業務の知識などの問題があった。遺族の「何か一つでも対策あれば…」と言うのはこれらの中のどれかでも実施されていればとの思いなのである。

亡くなられた方が建設業のOBで、それも現場監督もされていたことは初めて知ったのだが、遺族側が真相究明の為に実証実験を行っていたことも今回初めて知った。第三者傷害で被害者の過失があるケースは稀だと思うから、実証実験はそれこそ建設業のOB遺族が建設業に対する愛情からの被害者の無念を晴らそうとしたのだろう。

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築地市場火災、出火前から炭化か-火元ラーメン店の長年の調理で [建築事故]

東京・築地の築地場外市場で7棟が焼けた火災で、出火元とみられるラーメン店の厨房の壁が、長年にわたる調理の熱で経年劣化し、炭のような状態になっていた可能性があることが5日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁は火災の前から同店の壁の内部が燃えやすい状態になっていたとみて調べている。火災は調理中の熱が壁に伝わり、内部に熱が蓄積して発火する「伝導過熱」が原因とみられている。

捜査関係者によると、同店では防火措置としてステンレスの板を張った木製の壁から、数センチの距離でこんろを使用。スープの仕込みなどで長時間、ずんどう鍋を加熱していたといい、日常的に壁の内部に熱が蓄積していたとみられる。実況見分の結果、こんろ脇周辺の壁は内部が乾燥して炭のような状態になっており、長年の熱で劣化していた可能性が高いという。2017/8/5 産経

筆者は現場勤務の時に「耐火壁」の認定を受ける経験をしている。耐火壁とは30分、1時間、2時間の3つのグレードがあり、何れも壁の片側で熱を加え、反対側壁の表面温度が260℃以上にならないことを確認する試験である。260℃は木材の発火点温度なのである。

その様な常識(思いこみ)があったから、今回の火災原因については認識を新たにした次第である。火災原因は「伝導過熱」であり、それは長い期間にわたって壁の内部の木材が炭化したことによる。木材が炭化するには100℃以上で起こるもので、長期にわたってこの状態が続くと木材の水分が蒸発して行き、多孔質化するそうである。この様に炭化した場合、木材の引火点260℃ではなく、170℃で引火して例があると言う。

専門店のガスコンロは火力が強いだろうし、寸胴鍋は大きい。170℃であれば寸胴鍋を長時間火にかけ、壁が近ければその位の温度になるように思える。鍋の中に水分があれば鍋自体は100℃を遥かに超える温度になる事は無い。会席料理でミニコンロの上に和紙の鍋で煮ものが出来るのは水分があるからである。しかし寸胴鍋の下部は170℃くらいにはなりそうに思えるからである。

一般家庭ではガスコンロ自体が小さいし、鍋も大型ではないだろうから今回の様な「伝導過熱」し「炭化」して「低温発火」することは無いと思える。特に家庭では2日とか3日をかけてスープを取ることは無い。筆者は100Wの煮込み専用鍋を使って、牛の尻尾スープを取ったことがあるが、せいぜい8時間であり、危ないから床に置いて周りには何も置かなかった。

終の住処のシステムキッチン(IH)を計ってみたら、壁(キッチンパネル)までは20㎝はあった。これだけの寸法があるのは魚を焼くオーブンの排気口があるせいの様だ。念の為、今度煮ものをした時に鍋と壁の間に寒暖計を置いて計測してみようと思っている。

なお家庭用のキッチンパネルはメラミン化粧板が多いが、耐火性は無いので直に火が当たると燃える可能性がある。多分ガスコンロメーカーの取り扱い説明書にはそのことが記載されているはずである。

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アスクル火災③-効率化重視し、消防法違反 [建築事故]

埼玉県三芳町の通販会社「アスクル」の物流倉庫で発生した火災で、県警に消防法違反容疑で書類送検された物流センター長は違法保管を供述していることが28日、県警への取材で分かった。効率化を重視し過ぎた結果、消防法を軽視していた実態が浮き彫りになった。フォークリフトから出火した原因も判明。県警は関係団体に情報提供し、再発防止策を求めた。

県警によると、倉庫を管理する子会社「アスクルロジスト」は物流倉庫とは別に、地元消防から許可を得て、約15m離れた場所に通常より多くの量の危険物を保管できる危険物貯蔵所があった。計286品目、約12000点の殺虫剤などの危険物があったが、基準を超えた分の危険物を貯蔵所で保管しなかった理由について、男は「余分な時間と労力がかかるので、貯蔵所に移さなかった」と説明。県警は、出荷遅れを恐れ、違法状態が常態化していたとみている。

出火原因をめぐっては、フォークリフトのエンジンルーム内に段ボール片が入り込み、エンジン付近の高温になる金属製の管に触れて発火、床にある他の段ボールに燃え移ったとみている。火災が起きた端材室は多量の段ボールが堆積。高さ約3mもの段ボールが積み上がっていることもあったという。2017/7/29 産経

この事件については本ブログでも、火災事故原因消火作業の遅れについて2回取り上げている。事後原因は①タバコなどの火の始末の過失で段ボールに引火②スプリンクラーが作動しなかった③防火シャッターが荷物で下がらなかった、などを挙げた。推定なので当たらないのは当然ではあるが、「段ボール」が火災原因であったことは半分くらい的中している。

しかし火災事故原因がこれほどまでに「人的要因」であるとは驚きである。「余分な時間と労力がかかるので、貯蔵所に移さなかった」とは安全を蔑ろにした呆れた言い訳である。これは消防法に対する確信犯である。

倉庫業では当然建物自体は勿論、輸送を委託された商品についても保険をかけているが、重過失による火災に関して保険金は支払われない。アスクルにとって子会社に賠償請求することができるのか、そしてその子会社を債務超過で破産させることが出来るのかは知らないが、常識的には出来ないだろう。

アスクルの筆頭株主はソフトバンクだから倒産することは無いだろうが、失墜した信用の回復には時間が掛るであろう。尤もグループ会社製品の輸送が主であろうから、顧客が減少することは無いのかもしれない。

巨大グルーブ会社の子会社の倫理観の欠如による事故としては、三菱自動車の車輪脱落事故が思い出される。「親方日丸」ではないが、子会社には「破産の恐れ」は無く、一方、親会社に比べ給与が低く、又、天下りを受けている。この様な風土が「倫理観の欠如」を生むのではないだろうか?

これだけの火災事故である、再発防止を行わなければ何の進歩もない事になる。原因が「故意による過失」であるから、これには罰則を強化するしかない。子会社だけでなく、請け負わせた親会社の管理責任にも罰則を適用するかは議論の分かれるところである。

建築的には、外壁の開口が少なく、消防隊員が入れなかったことも火災が長期化した原因であった。30mに一カ所は必要ではないか?

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渋谷駅東口再開発工事で鉄骨落下-鉄骨ではなく「仮設H形鋼材」 [建築事故]

18日午後4時45分ごろ、JR渋谷駅の再開発事業の工事現場で鉄骨が倒れた。警視庁渋谷署によると、けが人は確認されていないという。

同署によると、再開発事業の工事で、足場に使っていた大型の鉄骨1本が落下した。鉄骨は工事現場と歩道を区切るフェンスの上に倒れかかって止まった。フェンスは歩道側に曲がり、鉄骨は歩道に突き出た状態という。事故当時は足場の解体作業中だったといい、同署は詳しい事故原因を調べている。

現場は駅東口のバスターミナル近く。都営バスの係員が「鉄骨が崩れている」と110番通報した。渋谷駅周辺では再開発事業に伴い、高層ビルの建設や、駅の出入り口や関連施設などの改修工事が進んでいる。2017/6/18 産経(写真も)

渋谷駅東口で鉄骨落下 再開発工事エリア.jpg

JR渋谷駅東口の再開発工事エリアで、鉄骨が崩れて落下した現場

渋谷駅前の再開発事業であり、バスターミナルや通行人が多く、難易度の高い建築現場である。現場としては安全管理に尤も心血を注いで工事を進めていたのであろう。しかしながら今回の事故が起きてしまった。幸いにもけが人は出ていないようなである。

記事によれば「足場に使っていた大型の鉄骨」が落下したとある。「大型の鉄骨」というと建物の部材のように思えてしまうが、「鉄の骨」であれば建物本体である。正確には「足場に使っていた大型のH形鋼材」と書くべきである。

この様に細かい事を説明するのかは、本体鉄骨が簡単に落下するのは極めて稀なのである。まして15tonもある「鉄骨」であれば、吊っていたクレーンも反作用で転倒したり、或いは取りついていた本体鉄骨に損傷が生じる事故となるからである。

このH形鋼材は外壁の足場を受けていたものらしい。本来足場は地上に足場板等を敷いて、その上から立ち上げていく。しかし足場は往々にして地上部分で邪魔となることがあるから、その場合、出来上がった建物から「ブラケット:建築用語では壁から出た腕」を出してその上にH形鋼材を載せ、足場を構築する。

普通の現場で使われる仮設H鋼材は、H-300×300、350×350、400×400が多い。これらの鋼材は使い勝手が良いから、重仮設業者のストックが多い。何故使い勝手が良いかと言えば、H形鋼材の高さと幅が同じで、「転びにくい」のである。又、荷重を支える時、支持間隔が大きいと「曲げ座屈:サンブナン座屈」するのだが、フランジ幅が広いと座屈の恐れが無い。こうした理由で、フランジ幅が広い鋼材は、「転び」や「座屈」の心配なく、重ね合わせて組み立てられるである。

しかるに写真で見ると落下したH形鋼材は、おそらく高さが900㎜、幅は300㎜のように思える。このように大きい鋼材を使ったのは、通常の支持間隔ではなく、10m以上の下部空間が必要だったのであろう。問題は誰がこの計画、その為の仮設構造計算をしたかである。

構造設計者であれば、このような900mmもある鋼材を使うのであれば、「曲げ座屈」を防ぐために「横架材」を使い、又、支持部分には「スチフナ」を入れて「局部座屈」を防ぐ。「転び」については。そもそも鋼材を上に座らせる使い方はしない。

最近は重仮設業者の社員が計画や、その為の仮設構造計算を行う事が多い。ゼネコンにとっては多少高くはなるが、全て重仮設業者に依頼して方が楽であり、又、事故が起きた場合の責任は管理責任(それでも重大である)だけで済む。はたして今回の事故の原因はどうなのであろう?

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北九州アパート全焼-1泊900円の日雇労働者用宿泊施設の有りよう [建築事故]

北九州市小倉北区のアパートが全焼し、6人が死亡した火災で、市消防局は8日、市火災予防条例に基づく「防火対象物使用開始届」をアパート側がこれまで提出しなかったため、防火設備の点検や指導ができなかったと明らかにした。

市消防局によると、条例では集合住宅に届け出義務を課しているが、罰則はない。届け出があれば、消防が定期的に査察に入り、機器が正常に作動しているかなどをチェックする。小倉北署は同日、唯一行方が分かっていなかった不明者1人と連絡が取れたと明らかにした。同署は失火と放火の両面で捜査。男性居住者とみられる6人の遺体の身元確認を進めるとともに、同日中に司法解剖を開始し死因を調べている。現場検証ではアパート北側が激しく燃えていたことが判明。出火原因の特定を急ぐ。

小倉北署によると、アパートには16人が居住。いずれも1人暮らしで、亡くなったとみられる居住者は1、2階にそれぞれ3人ずつ住んでいた。男性5人が病院に運ばれた。最後まで連絡が取れなかった1人を含む残り男性5人は、無事が確認された。

部屋を居住者に貸していた不動産会社の関係者は8日、16ある部屋のうち火災報知機がないとされた3部屋にも設置していたと明らかにした。火災は7日深夜に発生。木造2階建てアパートと隣接する民家1棟が全焼。別の民家4棟やマンションの一部も焼けた。2017/5/9 産経

北九州アパート全焼.jpg

全焼したアパート「中村荘」を調べる消防と福岡県警の捜査員ら

消防法は建築基準法と違って法律の適用は遡及され、不適格建物の場合、現行の法律通りの改善が義務付けられている。今回の建物には火災報知機は取り付けられていた様だが、その他の消防法には抵触していたと思われる。

特に重要なのは「防火区画」と「2方向避難」であり、これは建築基準法で定められているが、消防法にも繋がっているので、遡及され、防火管理者の責任を追及されることであろう。

火災で多くの犠牲者を出した事件で思いだすのが、1982年2月8日のホテルニュージャパン火災で、ホテルの宿泊客を中心に死者33名を出した。午前3時に出火し、12時過ぎまで火災が続いたから、テレビの実況で放送されていたのである。

火災の原因は、経費削減を理由にスプリンクラー設備などの消防設備を一切設置せず、かつ消防当局や専門業者による防火査察・設備定期点検も拒否し続けていたことによる。このオーナーは、無届の増築や、通常のホテルに比べて従業員が少なく、消防訓練を怠っていたなど、あきれ果てた実態が明らかになった。

小倉北区のアパート火災も同様の見方もできようが、しかしホテルニュージャパンは「都市ホテル」に対し、小倉北区のアパートは「1泊900円の日雇労働者用宿泊施設」なのである。共同キッチン、洗濯機などがあり、貧困者にとって有り難い宿泊施設であった。

日本は法治国家であるから、法律違反に対して、たとえそれが「1泊900円の日雇労働者用宿泊施設」であっても消防法等が適用されるのだが、筆者には何かそこに「弱者切り捨て」の様な冷たさを感じてしまう。

ところで「地球温暖化防止」や「水資源の確保」「生物多様性」の為など、無計画な森林伐採は出来るだけ行わないよう国際的に合意されている。しかし夕食の燃料の為や田畑の為に、毎日東京23区の面積の森林がなくなっているのが現実なのだ。その様な貧困に苦しむ国々に支援の手を差し伸べてはいるが十分ではない。

問題のすり替えかもしれないが、ホームレス寸前の人達を宿泊させてきた「小倉北区のアパート」の不動産会社は、明らかにしホテルニュージャパンのオーナーとは異なると思うのである。

「投てき型消火用具」という簡易な消火設備があるが、昔、天井に取り付けられていて、火災時に容器が溶けて、消火剤が出るような消火器があった記憶がある。今は無いが、おそらく消火性能が十分ではなかったのであろう。

しかし「1泊900円の日雇労働者用宿泊施設」には安価な「自動消火設備」が必要であり、今一度検討できないのだろうか?

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足場から落下し、鉄筋が体に突き刺さる-約3m下にあった基礎工事用鉄筋 [建築事故]

19日午前9時10分ごろ、東京都調布市国領町の地下通路の工事現場で、作業員の男性(46)が足場から落下し、約3m下にあった基礎工事用の鉄筋が体に突き刺さった。東京消防庁などによると、鉄筋は直径2cmほどで、男性の脇腹から胸にかけて貫通。男性は重傷だが、意識はあるという。

警視庁調布署によると、男性は同日午前8時すぎから別の作業員3人と足場の組み立て作業をしていた。同署は業務上過失致傷の可能性も視野に、現場の責任者などから事情を聴いている。2017/4/19 産経

現場がどの様な状況であったかは報道写真等が無いので、以下は推定でしかない。おそらく地下通路の躯体(ボックス状)のうち、底盤のコンクリートが打設され、立ち上がり部分の壁の鉄筋が出ていたのであろう。鉄筋が出ているのは底盤の鉄筋と壁の鉄筋を接合するためで「重ね継手」と言う。

通常「重ね継手」は鉄筋の径の40倍の長さになるので、例えばD22(異形鉄筋で直径が22mm)では88㎝となる。多分20㎝間隔で2列(ダブル配筋)に並んでいるその上に転落したと思われる。

壁の鉄筋と推理したのは、連絡通路では「柱」は考えられず、又「基礎杭」があるとは思えなかったからである。ただし壁鉄筋では上記のように20cm程度の間隔であるから、刺さったのは複数本となるが、その様には報道されていない。

3m落下するとどのくらいの速度となるかを計算すると

H=at2     H:落下高さ(m) 
a:重力加速度(9.8m/sec2)
t:落下時間(sec.) 
3.0=9.8×t×t
t=0.78sec
v=at      v:速度(km/時)
v=9.8×0.78
 =7.7m/sec
v=27.6km/h

となった。自動車で時速30kmと言うのは早くは無いが、人をはねたら相当危険な速度ともいえるから、細い鉄筋が体を貫通することは十分ありうるのである。

数少ない筆者の現場経験で、実は作業員の体に鉄筋が突き刺さった事故が発生した。事故の状況は、工事は工期が少なく「工期短縮」が必要であった。現場の方針で地上躯体を「2段打ち」することとなった。建物は「鉄骨鉄筋コンクリート造」だったので、4階床を下の階に先行して鉄筋コンクリート工事を行ったのである。

その為柱の鉄骨を利用して「アングル:等辺形鋼」を溶接して支えとし、柱コンクリートの底型枠を作った。そしてその型枠に鉄筋を通す穴を開けて柱鉄筋の型枠の下の伸ばしたのである。今回の事故の逆である。

しかしその柱鉄筋の取り付けが十分固定されてなく、そのうちの1本(全体では1000本以上)が滑り落ちてしまった。そうしたら下の階で黙々と作業していた鉄筋工の肩に突き刺さり重傷を負った。上階の鉄筋を固定したのも鉄筋工ではあるが、アクロバチックな計画したのは現場であり、より重点的に管理すべきであった。新入社員であった筆者には衝撃的な事故であった。

残念なことに地下工事がある現場では、墜落して鉄筋が刺さるケースは稀に起きている。その為「鉄筋養生」として下記の様な「鉄筋キャップ」を付けるのが望ましい。この例は杭の鉄筋であるが、壁の鉄筋用にはキャップではなく、長さがある手摺状のものがある。

鉄筋養生の例.jpg


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高さ7mの看板塔が倒壊-北海道帯広市 [建築事故]

10日午前8時40分頃、北海道帯広市東2南10の帯広信用金庫東支店の敷地内に設置されている縦横2m、高さ7mの大型看板が強風で歩道に落下したと道警帯広署に通報があった。けが人はいないという。

同信金によると、看板は、1973年の設置。鉄製の直径約50cm、高さ10mの支柱の上に付いていたが、看板は支柱との接合部が折れて落下していた。3年に1度点検しており、2015年の前回点検で異常はなかったという。

同信金は落下事故を受け、同支店を含む33店舗の看板について緊急点検の実施を決めた。
帯広測候所によると、帯広市一帯には強風注意報が出されており、同日午前7時過ぎに最大瞬間風速15.3mを記録した。(読売)

7mの大型看板.jpg

高さ7mの看板塔が倒壊(読売)

看板の落下等の事故は頻繁ではないが、台風或いは強風時には全国各地で発生している。従って目新しい報道ではないが、写真を見て筆者は違和感を覚えた。2m角の搭状の看板が「落下」したというのではなく、「倒壊した」と思ったからである。そこで「グーグルストリートビュー」を見たのが次の写真である。

高さ7mの看板塔が倒壊.jpg

元の看板の状況

建築基準法では「工作物」として高さ4m以上の場合には「工作物申請」を必要とするから、一応の強度計算が行われ、規準に合致しているかを確認している。ただし看板は昭和48年に設置されたので、当時の規定で「工作物申請」をしたかは定かではない。

写真を見ての違和感は看板を支えていたポ-ルが全く無傷なことである。普通これだけの看板をさせるのであれば、ポールの先端に載せるのではなく、筆者の感覚ではポールを2m位看板の中に入れ、ポールから出したガセットプレートに対し上下8か所以上で緊結する設計をすると思う。

ところがNHKの映像ではなんとポールの天端プレートに取り付けたものだった。その様な納まりもあるとは思うが、その場合はポールの天端には曲げモーメントに有利になる様「フランジ」を付けるディテールにするものだ。

原因は接合部のボルトの腐食が考えられる。或いはポールの天端プレートとの溶接部の破断である。これには溶接部の腐食と疲労破壊も考えられる。

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築42年マンション外壁崩落…高齢居住者ら困惑 [建築事故]

札幌市西区のマンションで外壁が崩落するなどし、管理会社が一部の住民に避難を呼びかけている。15日は住民に対する説明会が開催されたが、高齢の居住者も多く、困惑が広がっている。

管理会社などによると、マンションは鉄筋コンクリート6階建ての「宮の沢ハイツ」。約50世帯が入居しているが、築42年が過ぎて老朽化が進んでいる。今月3日から外壁の崩落が確認され、同マンション周辺の小道は立ち入り禁止に。2~6階に住むうちの約20世帯 2017/03/16 読売

築42年マンション外壁崩落.jpg

外壁が崩落(読売)

築42年マンション外壁崩落-2.jpg

外壁が崩落(朝日テレビ動画)

この建築事故は正確には「最上階ベランダ庇の立ち上がり壁の崩落」である。最初に読売の記事から思ったのは、屋上のパラペット(防水の立上り)が経年の為傷んで、亀裂が入りそこに雨水が浸入する。そして鉄筋が腐食して断面欠損して積雪荷重が加わって耐えきれずに鉄筋が破断した事故と考えたのである。

基本的な原因は変わらないが、朝日テレビの動画写真からは「パラペット」ではなく、「庇の立ち上がり壁」であることが分かった。この様なデザイン(納まりと言うべきか)は積雪が少ない地域では見られないが、札幌では積雪は1mを超えるから、雪が落ちないように「立ち上がり壁」を造って積雪させ、徐々に溶かしていくのである。

しかし少し疑問に思ったのは、何故庇を屋上スラブから水平に伸ばさないのか、と言う事である。この納まりは、もしかしたら積雪地帯での常識なのかもしれないが、庇の配筋は最上階の梁の下端付近に定着させることになり、構造的にはあまり良いものではない。跳ね出しスラブは屋上スラブから水平に伸ばせば簡単であるし、「定着長さ」を気にすることは無い。

又、防水は「露出防水」仕様のようであり、屋上スラブと庇が段違いとなって、納まり上はやはり好ましくない。「露出防水」は「押えコンクリート」が無いので、耐久性が劣る。従って維持管理が十分でないと「雨漏り」の原因となる。賃貸マンションの場合、所有者がどれだけ維持管理に費用をかけるかが問題である。報道によれば数年前から最上階の部屋は雨漏りがしていた様で、どうもメンテナンスは不十分であったようだ。

なお屋上のパラペットは防水の要である。屋上からの雨漏りの原因の多くはパラペットとスラブとの間の「ひび割れ」なのである。従ってパラペットはスラブと十分な接合が要求される。パラペットは

① 鉄筋コンクリート造とする(鉄板では駄目)
② 厚さは180㎜以上
③ 鉄筋はダブル配筋(シングルやチドリは駄目)

とする。設計図がこの様になっていない場合、施工者は上記に変更を申し出るべきである。将来漏水したら信用を失うのは設計者では無く、施工者になるのである。不公平に思われるかもしれないが、これが建築主から求められるゼネコンの「付加価値」なのである。

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クレーン車傾き電線に接触-東京世田谷で1100世帯停電 [建築事故]

8日午後0時半ごろ、東京都世田谷区三宿2丁目、都道拡張の工事現場で、大型クレーン車が右前方に傾き、約21.6mのアーム部が電線に引っ掛かった。付近の約1100世帯が一時停電。けが人はなかった。

警視庁世田谷署によると、50代の男性作業員がクレーン車でコンクリート片(設備系のPCボックス?)を地中の穴に移していたところ、車両を固定(安定)する「アウトリガー」と呼ばれる支柱(脚)の1本(4本のうち、右前方)が地中に埋まり(沈下し)、傾いたという。電線とクレーン車は約10m離れていた。

現場は東急田園都市線池尻大橋駅から北西約700mの住宅街。近くの20代の男子大学生は「『ドン』と突き上げるような衝撃と音があった」と驚いた様子で話した。2017/3/8  産経()内の記述は筆者

クレーン車傾き電線に接触(産経).jpg(産経)

作業中のクレーン車倒れる(朝日).jpg(朝日)

クレーンは「ラフタークレーン:ラフテレーンクレーン」と呼ばれる車道を走ることが出来、クレーンの操縦席と運転席は同じもので、360度旋回し、揚重作業が出来る。揚重能力は5~75tonと種類も多く、今や建設現場の揚重作業の移動式クレーンのほとんどを占める。

ブームはボックス断面をしており、油圧により釣り竿のように伸縮が可能で便利である。しかしクローラクレーンの鋼管トラスブームは軽量であるが、ラフターは重い為作業半径が大きすぎると、僅かな揚重材とブームの自重だけで転倒してしまう事がある。

筆者が勤務していた会社では、施工計画を立てる際には必要な作業半径に対し、吊り荷重はカタログ値の80%に低減するように行っていた。その為、1ランク上の重機を選定することもあり、当然損料は多くなる。しかし安全が「お金」で買えるのであれば当然である。

今回の事故の原因は報道にあるように、「アウトリガー」の一つが地面にめり込んでしまったらしい。東京都世田谷区三宿の都道拡幅工事現場と報道されていることから、おそらく住宅等の跡地であろうから、とすれば解体後の敷地である。基礎コンクリートの解体時に地盤を掘削し埋め戻すことになるが、この埋め戻しが十分強度が出るようにしておかないと、支持力は少ない。

写真を見ると敷き鉄板(クレーン会社の自前)は見えるから、一応標準作業に見える。とすれば敷き鉄板の下部の地盤強度が十分でなかった、という推測が成り立つ。もしそうであれば、今回の事故はゼネコンの責任である。
埋め戻された地盤でクレーンや杭打ち機等の重機を使うのであれば、埋戻し地盤の様な軟弱地盤に対し、

1. 地盤改良を行う(セメント系)
2. 敷き鉄板を1枚ではなく、2枚とか厚くして「アウトリガー」荷重を分散させる

のいずれかを行う必要があった。

ところで都道拡幅工事であるから、都の「監督員」がいるはずである。しかし監督員に責任が及ぶことは無い。

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