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ジョギング中に石灰の水たまりで「化学やけど」-生石灰を大量に使用か? [基礎構造]

川崎市の河川敷でジョギングしていた3人が、水たまりにはまった後、足にやけどをしたような痛みを訴え、河川敷の工事をしていた国土交通省が調べたところ、舗装の工事で誤って多く使いすぎた石灰が雨でしみ出し強いアルカリ性の水たまりができていたことが分かった。

国土交通省京浜河川事務所によると、今月1日、川崎市中原区の多摩川の河川敷をジョギングしていて水たまりにはまったという男女3人から、「ぬれた足が炎症を起こした」と、痛みを訴える連絡があった。3人は強い化学物質が皮膚に接触することで発症する「化学やけど」と診断され、一緒に走っていた10人ほどのグループの、ほかのメンバーも同じ症状を訴えた。

国土交通省が調べたところ、河川敷の舗装工事を担当した業者が、舗装に使う資材として石灰と土を混ぜる際に材料を誤ったため、石灰の量が多くなりすぎ、それが雨でしみ出して強いアルカリ性の水たまりができていたことが分かった。国土交通省は20日から舗装をやり直す対策工事を始めた。2017/4/20 NHK

石灰には「生石灰」と「消石灰」があり、この事故の原因とされる石灰は「生石灰」である。使用目的は「地盤改良」の為で、生石灰は水と反応して「消石灰」となることから、含水が多く軟弱な地盤に対して混ぜることによって水分を吸収し、土の強度(粘着力)が増大するのである。

しかし事故となったように生石灰は強アルカリの為、取り扱いに注意するほどで、間違って水溜り等に入れると強アルカリ水となるのである。湖沼等に入れると魚が死んでしまうから、危険な化学物質なのである。

地盤改良は筆者の専門なので解説すると、主に次の3つ方法がある。

1.締め固め 地盤を振動させて土の空隙を少なくする
2.固化 地盤改良材を添加して固める
3.置換 現地盤をコンクリート、流動化土と置換する

今回は道路下の軟弱な地盤の強度を高める方法として、固化工法を採用した。そして改良材は「生石灰」であった。

道路下の地盤が軟弱であれば固化工法の採用は妥当であるが、問題は「地盤改良材」の選定である。「生石灰」を使うのは通常「ケミコパイル」とよばれる、地盤中に直径500φ程度の孔を開け、「生石灰」を入れる工法で、深さは15m程度まで行う事が出来る。ケミコパイルの間隔は1.2~2.0mで、設計条件によるが、軟弱な粘性地盤に対してある程度の深さまで改良を行うのである。工法の分類では上記とは異なり、「脱水」である。

「生石灰」は危険な材料であり、表層地盤に対して用いることは、少なくとも建築では行われない。建築で用いる改良材はセメント系が主で、改良材自体の性質から「固化」するのである。しかし地盤の含水量が非常に高い場合には、セメントと生石灰を混ぜた改良材もあるが、あくまでセメントが主で、生石灰が従なのである。

ここからは筆者の推測であるが、事故は河川敷なので含水率が非常に高い地盤であったのだろう。その場合、前述のように「セメントと生石灰を混ぜた改良材」をつかうべきなのである。しかしこの材料はコストが高い。となると、コストの安い「生石灰」を使ったのではないだろうか?

国土交通省の仕事であるから、発注には当然「仕様書」があり、地盤改良の材料も指定されている。常識的には地盤の表層改良材であれば、セメント系改良材もしくはセメントと生石灰を混ぜた改良材を指定するはずである。ここで更に推測であるが、仕様書ではセメント系改良材であったが試験施工した結果強度が出なくて、改良材の変更を余儀なくされたのではないだろうか?

本来は設計変更でコストアップもやむを得ないが、「生石灰」であればコストアップとはならないから、常識ではない選択をしたのではないか?そしてセメント系改良材と同じ配合で地盤と混合させた結果、今回の事故となったのではないだろうか?推測の推測でコメントしてしまったが、真相はどうなのだろうか?情報を公開してもらいたい。

ところで報道ではまだ工事中であり、何故ジョギングの人たちが入ったのだろう?またしても推測となるが、立ち入り禁止措置が不十分だったのだろうか?

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液状化対策の丸太打込み工法 [基礎構造]

液状化対策のため、丸太を地中に打ち込む新たな工法を用いた分譲住宅地が今月、千葉市美浜区にオープンした。千葉県産木材も使われており、県は東日本大震災で液状化被害を受けた千葉県での普及を期待している。

この工法を開発した飛島建設によると、地中に多数の丸太を垂直に打ち込むことで、軟弱な地盤を締め固める効果があるという。液状化対策として有効と認められ、2014年に一般財団法人「先端建設技術センター」の技術審査証明を取得した。同社によると、間伐材も利用できる。

分譲住宅地の地中には、直径約15㎝、長さ約4mの丸太が1㎡当たり1本、約5mの深さまで打ち込まれている。住宅地全体では計約1万3400本の丸太が使われ、このうち約7000本は県産木材を活用した。10/20 読売

液状化防止技術には①締固め②固化③格子状改良④地下水位低下⑤排水等がある。この記事の丸太打ち込工法は①の締固めである。締固め工法は約直径70㎝の砂杭や砂利杭を地中に造るもので、緩い砂地盤を固めるものである。排土しないで砂杭等を作るから地盤の密度が大きくなり、強度が増加するのである。

丸太を地中に打ち込んで砂地盤を固めるには、相当な量の杭を打ち込まなければならないが、記事によると直径約15㎝、長さ約4mの丸太が1㎡当たり1本とあるから、面積比で約1.8%である。これで締め固め効果があるというのは少し疑問である。

飛島建設のサイトで「丸太打設液状化対策」が掲載されていたが、丸太の間隔が5D(丸太の直径)、4D、3Dの実験により、標準貫入試験のN値の向上結果が示されている。今回の記事では100/15=6.6Dとなるから、新たに実験したのであろう。

それとも対象が住宅の基礎であるから、地盤改良効果と、杭としての支持力の機能の両方で効果があるとして技術審査証明を取得したのかもしれない。

木杭は古来より使われており、最近の話題では東京駅のリニューアルで1万本の木杭が100年経っても腐朽していなかった。腐朽菌は地下水以下では酸素が無いので活動できないのである。しかし住宅に使うとなれば地下室は無いから、杭の上部は腐朽菌に対して考慮しなければならない。

例えば松やヒバなどは腐朽菌に対して有効である。しかし間伐材も使うとなれば樹種は色々だろうから、おそらく防腐処理が必要となろう。それでも間伐材が使えるならば、その対価で日本の森林保護に貢献できる。
















粘性土の圧密 [基礎構造]

昨日の「ネガティブフリクション」は粘性土の「圧密」現象によるものであった。粘性土は土粒子が5μ以下と細かく、その細かい粒子が綿菓子のように繋がっている。綿菓子はほとんど空気であるが、粘性土も空隙が多く、「飽和土」ではその空隙は水で満たされている。

粘性土のこのような構造だと、圧力が加わると空隙にある水が逸散し、体積が減少することになる。この現象が「圧密」である。粘性地盤全体が「圧密」すると「圧密沈下」になって、地盤沈下となる。

一方砂地盤では、砂にも空隙はあるが、基本的に土粒子同士はくっついており、圧力が加わっても粒子に力が伝わっていくから、圧力に対して抵抗する。一般に「N値、標準貫入試験値」が30以上の締まった砂層では、圧力が加わっても空隙の水は逸散するようなことは無い。

ところで、圧力はどのようなことから生じるのであろうか?先ず、建物の建設がある。軟弱な粘性地盤に杭基礎でなく、直接基礎にした場合は建物荷重が増加圧力となる。例えば4階建の鉄骨造の建物であれば、5t/m2位の圧力となる。又、地盤面を高くするため「盛り土」をした場合には、2m盛れば約3.5t/m2の圧力増加となる。

圧力の「増加」としたのは、圧密を考える粘性土は地中にあるから、常に地中圧力を受けているからである。この地中圧力は考える粘性土より上の土の重量なのであるが、地下水があると土の重量は浮力を受けるから軽くなる。例えば地下水位が5mの場合、地中深さ10mでは5t/m2の浮力を受ける。

地下水を汲み上げると、水位が下がり浮力が減少することになる。すると圧密を考える粘性土の上部の土は浮力が減ることから、重量が増すことになる。5m水位を下げると、5t/m2の圧力増加となるのである。つまり地下水の汲み上げは圧力の増加となるのである。

なお圧密沈下するかどうかは、粘性土の強度と圧力の比較である。圧密に関する強度を確かめるため、「圧密試験」を行い、「圧密降伏応力」「圧密係数」等を求める。過去に大きな圧力を受けた土は「過圧密」といわれ、この様な地盤では地下水を汲み上げても沈下は生じない。

現在の地中応力と同じ圧密降伏応力では「正規圧密」という。この場合、地下水を汲み上げると地中応力が増加して圧密し沈下が生じることになる。現状の地中応力より「圧密降伏応力」が小さい場合は「圧密未了」で、現状で「圧密沈下」が続いている地盤である。












家具を固定するL形金物は、壁板の奥の柱(又は1/3柱)に取り付けましょう



ネガティブフリクション [基礎構造]

基礎構造は大きく直接基礎と杭基礎に分けられる。軽い建物や、比較的浅く堅い地盤(支持層)が現れる場合には直接基礎となり、そうでない場合には杭基礎となる。このことの詳細については、以前のブログを参照されたい。

中国の北京や上海で地盤沈下が問題になっているという。数十年前から地盤沈下は始まっていたが、このところ沈下速度が速くなっているようだ。地盤沈下は広域に、ほぼ同じように沈んでいくから、道路等で大きな段差が生じたりはしないので見た目には中々分からない。

粘性土の軟らかい地盤の地域で、地下水の汲み上げを行うと「圧密沈下」が起こり、又、沈下速度が速くなったりする。地下水は軟らかい地盤の下部の滞水層(砂、礫層)から汲み上げ、生活用水や工業用として使われる。
例えば東京の江東区等も昭和40年代に入り工業用水として地下水を汲み上げた結果、毎年5~10cmの沈下が続いて問題となった。建物は杭で支えられているから沈下はしないが、道路は沈下するので、建物と段差が生じる。すると建物に接続している、上下水道菅が破損してしまう。

又、橋の橋脚も杭で支持されているため沈下はしないが、道路が沈下し段差が生じて通行に支障をきたす。沈下の度に舗装を重ねた結果、江東区では橋に向かって昇っていく道路が多いのは地盤沈下のためである。集合住宅でも階段と道路に段差が出来てしまい、新たな段を設けた建物は多い。

その為日本では昭和40年代の末から各地で条例による揚水規制が行われ、地盤沈下の問題は解消されている。最近では地盤沈下と言えば、土木工事などで長期にわたって仮設的に揚水して問題になるくらいである。

先ほど杭のある建物は沈下しない、と書いたが問題が無いわけではない。杭は建物荷重を支持できるよう設計されており、他には地震時の水平力に抵抗することである。杭と地盤とは摩擦力が生じるから、杭の先端部の地盤支持力だけでなく、その摩擦力も期待して設計できる。特に摩擦力が主体の場合には「摩擦杭」という。

しかし地盤が沈下すると、この摩擦力は逆に杭に地盤が「纏わりつく」事になって、謂わば「お荷物」即ち荷重となるのである。これを「ネガティブフリクション」と言う。最近の杭は杭自体の強度も高く、支持力も飛躍的に高まったが、昭和40年代はそうではなかった。「ネガティブフリクション」によって杭が沈下し、更に破損までとなる事故が多く起こってしまったのである。

地盤沈下は揚水をしてなくとも、海岸を埋め立てて間もないような「圧密未了」地盤では進行する。その様な地盤に対して、設計段階で「ネガティブフリクション」を検討して杭の支持力を確認するか、或いは、杭に「ネガティブフリクション」が生じないようにした杭(SL杭など)を採用する。
 
なお杭の周面積に対して断面積(杭の径)の大きい杭、場所打ち杭(径が800以上の既成杭)は「ネガティブフリクション」について問題となることは少ない。












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基礎の種類-浮き基礎(フローティング基礎) [基礎構造]

「浮き基礎」とは、建物全体を船に見立て、柔らかい地盤中に浮いている状態の基礎工法である。土の密度は16KN/m3程度であるので、地下室を作って土を排出し、その土に見合った建物重量にすれば、建物下部の地盤にとっては応力状態は変わらないことになる。即ち建物重量による沈下は無く、支持していることになる。

大規模な建物で浮き基礎が採用されてのは、横浜市のシルクセンターで昭和32年着工、34年に竣工している。鉄骨・鉄筋コンクリート造りの地上8階、塔屋3階、地下1階の延べ床面積24,878㎡である。

山下公園脇の港に面した立地で、地盤は軟弱な層がある。基礎構造の設計(アドバイザー)は大崎順彦博士である。建設資金が少なくコストダウンが求められ、基礎工事の杭をやめて採用していたのが「フローティング基礎」なのであった。建物の用途上地下室があったのを大崎博士が地上建物の位置、重量を勘案して地下室の深さなどを変えて、建物の重量に見合った掘削残土を調節したのである。

流石に大崎博士も心配だったようで、施工中から建物のレベル測定を続け、竣工後も10年以上測定を行った。東大の最終講義の中で、このシルクセンターは地震についての検討は行ってなかったので、間もなく解体されると聞き安心したと話された。しかし、閉館はしたもののその後再開され現存している。東日本大震災時にはどうだったのだろう。
















基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-ケーソン基礎工法) [基礎構造]

建築分野ではほとんど使われないが、土木分野で使われるのが「ケーソン基礎」である。これは矩形もしくは円形の基礎で、大きさは70m×70mくらいの実績は多い。深さは40m程度である。橋の基礎として予め作られたケーソンを沈めて後からコンクリートを流し込む方法では60m以上の深さのものがある。

沈める橋脚基礎を除けば、ケーソン基礎は「オープンケーソン」と「ニューマチックケーソン」に分けられる。オープンケーソンは地下水が出ない地盤で採用され、地下水が出てきた場合は井戸で汲み出すか、掘削部にそのまま地下水を貯めて、水中掘削する。それに対してニューマチックケーソンは、水圧に対して掘削している空間の気圧を高くして水圧を防ぐ工法である。

施工法は地上で先ず、基礎外周に「刃型」と呼ばれる断面が直角三角形の基礎を作る。鋭角を地面に突き刺すようにする。高さは3m程度で、コンクリートが硬化後、内側を掘削する。3m掘削し、刃型は少し沈下し安定する。

次に4m程度刃型の上に壁状の鉄筋コンクリート(RC)基礎を作り、内部を4m掘削する。掘削が進むにつれ、刃型は沈設されていく。刃型部を外周で平均的にバランス良く掘削する必要がある。以下、地上でRC基礎を作り、内部を掘削するという繰り返しである。

ケーソンの内部は、10m×10m程度の大きさであれば基礎は外周だけであるが、それ以上だと内部に格子状(10m程度間隔)に壁を作り、側圧(土圧+水圧)に対して外周の基礎を支持させる。

所定の支持層まで掘削したら、刃型の高さ分にまずコンクリートを打設し、次にその上に耐圧版の鉄筋、コンクリート工事となる。上部に空間については、地下水圧に対して必要な重量分のコンクリートを充填させることになる。

掘削は「クラムシェル」で行うが、オープンケーソンの場合では「クラブバケット」など杭基礎の泥水中で使われる掘削機を用いる。地下水圧に対抗できるまでのコンクリートを水中打設後、内部に張った水を汲み上げることになる。
ニューマチックケーソン工法は刃型部分の上に耐圧版を作り、刃型の高さ分の空間を圧気させることで地下水が入り込まないようにする工法である。1気圧は10.13mの水位なので、2気圧にすれば10mの水位の地下水の流入を防ぐことが出来る。通常人間が圧気空間に入るのは3.5気圧(2.5気圧の圧気)までなので、25mの水位の地下水を防ぐことが出来る。

圧気させた空間から土を出すためには、気圧の減少を防ぐために「マシンロック」という弁は2つある管を使い、人間の出入り煮は「マンロック」を使う。人間の出入りにはマンロックの中で十分な時間をかけて地上に出ないと、圧気空間で血液中に解けた空気が気泡となり、毛細血管を塞いでしまう「潜水病」になる。

近年のニューマチック工法では、刃型空間で機械化施工が出来るようになり、人間の出入りは出来るだけ少なくするようになった。なお、圧気を高くし過ぎると、周辺に空気が流出するので慎重な管理が必要である。
















基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-地中壁工法) [基礎構造]

地中壁工法は「山留壁」として開発されたもので、溝状に掘削して地中にコンクリート壁を作り、連続させて「山留壁」にする機能に加え、建物荷重を支持する機能を持たせた工法である。単体で杭のみの利用も可能である。

壁の厚さは600mm~3200mmまでの機械がある。掘削可能深さは100m以上であるが、建築の杭としては、厚さは2400mm、深さは60m程度(各社の評定内容による)である。杭および地下外壁として利用する場合には、厚さは1500mmまでである。

先ず、地中壁の両側に、深さ2m程度の「ガイドウォール:RC壁」を作る。このガイドウォールを定規に掘削するのだが、掘削や、鉄筋籠のつり込み、コンクリート打設などで重機が近接する際に溝が崩壊しないためでもある。
掘削はアースドリルやリバース工法と同じ「安定液」を溝に張って行う。掘削機械は「クラブバケット」によるか、ドリルをつりさげて地盤を崩し、先端からリバース式にスラリーを吸い上げる機械とがある。

クラブバケットによる方法は、アースドリルと同じく「安定液」の管理が重要で、地盤によってはクラブの上げ下げにより溝壁の崩落が生じてしまうのである。従って安定液の選定には地盤に適合した配合が必要で、安定液メーカーの経験、知見を参考にする。

クラブバケットによる掘削深さは、アースドリルト同じく60m程度である。クラブバケットの上げ下ろし回数が多いと溝壁が崩落することがあるので、上げ下ろし速度は工期を短縮するために早くしがちであるが、過度に早くしてはならない。

リバース式の掘削機は回転ドリル溝に平行にが2個並んでついており、逆回転することで溝方向にぶれないようにしている。ドリルによって崩された土はスラリー状となり、2個のドリルの間にある管から吸い上げられる。
地上では専用のプラントがあり、吸い上げられたスラリーを土の粒子と水を分離させる。リバース工法と同じである。つまり「安定液」といっても水道水である。分離された水は掘削溝に戻される。溝内の水位は地盤の崩落を防ぐため、常に安定した高さを保持する必要がある。

鉄筋籠は、主筋(表側と裏側)と横筋、主筋同士を繋ぐ縦筋、籠を吊り起こす時に変形しないような補強鉄筋・鋼材、次の地中壁と接合するための鉄板、鉄筋、鋼材など多種のものが取り付けられる。

鉄筋籠は幅が最大8m程度、長さは11m程度となり、壁の長さが50mであれば少なくとも5つの籠をつなぐことになる。従って、籠の製作には広い敷地が必要となる。地中壁工法では3000m2程度以上の作業エリアを必要とされる。

掘削が終了すると、掘削底の整形、スライム処理はアースドリルなどと同じであるが、掘削幅が8m以上となることがあるので、杭利用の場合、スライムクリーナーを中心に1個で処理が可能であるるが、地中壁の場合、2か所で行うことがある。

鉄筋籠の吊り下しには大型クレーンが必要となることが多い。それは、地中壁が「山留壁」としても兼用されることが多いので、杭の場合い鉄筋は上部が密で下部は疎らであるのに対し、山留壁では「側圧(土圧・水圧)」は深くなるにつれて大きくなるので、下部の鉄筋が多くなる。従って兼用した地中壁は深さ方向すべてで鉄筋が多くなる。又、上述の補強鉄筋、接合鋼材なども籠を重くしている。

コンクリート打設はトレミー管で行うが、幅があることから、トレミー管を2個所に設置し使うことが多い。2個所でのコンクリート打設は常にコンクリートの「天端」が同じになるよう注意する。天端がそろわないと、偏ったコンクリート圧力によって鉄筋籠が溝の中で横移動してしまうからで。いったん横移動してしまうと修正できないので十分な管理が必要である。

構造的に必要とされる場合には地中壁同士の接合は、横の鉄筋の接合と、剪断力の伝達が必要となるが、各種開発されており、各々「評定」を受けている。拡底杭は杭専業者が「評定」を取得しているが、地中壁は建物の構造設計に大きく関わる(地下室内部の耐震壁の量など)ので、総合請負業者(ゼネコン)が取得している。

建物地下外周に外壁・杭利用の地中壁とすると、地下室があるような強固な地下構造となり、地盤が軟弱な所に超高層建物を作る場合の基礎形式としては望ましい。


















基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-深礎工法) [基礎構造]

深礎工法は基本的に人力で掘削して作る杭で、場所打ち杭の中で最も古くから施工されてきた。今時人力で掘削するとは、とお思いかもしれないが山の中にどうしても基礎を作りたい需要があれば、掘削機械を持って登れないのであれば「深礎工法」しかないのである。

深礎の掘削は先ず、所定の位置大きさで300㎜くらい掘削し、周囲に「矢板」と呼ばれる波型状の鉄板(長さ500㎜、幅1000㎜程度)を200㎜差し込む。そして「箍:たが」の逆になるが、内側に円弧状の鋼材を回して、矢板を内側から支える。

円弧状の鋼材は出来上がるとリングになり、矢板に加わる「土圧」に対して抵抗する。アーチ効果、リング効果と呼ばれるが、リング状の鋼材には圧縮力が生じるので、それに耐えうる断面を持つ鋼材にするのである。矢板は滑り落ちないように、鉄筋棒を地盤に差し込んでおく。

次にまた500㎜掘削して、矢板を差し込みリング鋼材で補強する。この繰り返しで掘削していく。掘削は基本的に人力で行い、バケツに土を入れて、杭の地上部に3股を組み、そこに滑車をつけて、ウインチのロープを垂らしてバケツを持ち上げるのである。杭径が大きく、作業スペースがある場合には、パワーショベル(鉛直掘削用のブームを装着する)での掘削を併用する。

地下水が湧いてくると水中ポンプで汲みくみ上げながらの掘削となり、難工事となる。地下水と共に土砂が崩れてくると矢板裏に空洞ができてしまう。従って、本来は井戸を最初に作っておき、予め地下水を汲み上げ水位を下げておく。

支持層近くまで掘削すると、ほとんどの深礎の設計では「拡径」しており、矢板のさらに外側(300㎜くらいまでが望ましい)を人力で掘ることになる。地盤が露出するので崩壊の危険が高い為、粘着性の地盤、例えばN値10以上の粘性土などで拡大し、支持層までは同じ径で(矢板を入れて)掘削する。

深礎の最大の利点は支持層を目視確認できることである。地盤調査でのサンプルとの比較で、支持層を確認できるし、場合によっては(設計図書で特記されていることもある)深礎内で「載荷試験」も可能である。又、地下水の影響がなければ支持層は平たんに整形され、当然ながらスライムはない。

鉄筋籠の組み立てはほかの場所打ち杭と同じであり、孔内に下され、コンクリート打ちとなる。コンクリートは「フレキシブルシューター」で打設されるが、矢板を外しながらのコンクリート打設は、鉄筋籠内にぶら下がっての作業(芸当といえるだろう)で、かなり危険な作業である。

矢板を外すと地盤が崩壊する場合には矢板はそのままにして「埋め殺す」ことになり、コストアップとなる。又、矢板が残ると深礎杭の摩擦力は期待できないことから、深礎杭は設計上、摩擦力は考えない。杭の支持力機構については後日記載したい。

深礎工事での事故で多いのは、地盤中に存在することがある「酸欠空気」を吸ってしまうことである。空気には約20%の酸素が含まれるが、酸素濃度が10%以下の空気を吸うと数分で意識がなくなり、ついに死に至ることがある。従って深礎工事には「酸素欠乏危険作業主任者」の常駐が定められている。

酸欠空気は地下水位が低下して地盤中に空気が入り込み、その空気中の酸素が地盤中の鉄分と化合して酸化鉄となる。すると酸素濃度が低くなってしまうのである。深礎作業中は毎朝酸素濃度の測定と、作業中の孔内への送風が必要である。

このように深礎工法は危険性が高く、需要も多くないことから、作業員は日本全国で限られており、徐々に少なくなってきている(100人以下?)、と言われている。

なお、道路工事で下水管などの大型のマンホールの設置などで、深礎工法の矢板、リングが使われている。しかし掘削深さはせいぜい5~7m程度と浅い。













基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-BH工法) [基礎構造]

BH工法とはボーリング機械(孔を掘る機械で、地盤調査にも使われる小型のものから、BH杭までの大型のものもある)で掘削する場所打ち杭で、リバース工法と似ている。

即ち、ロッドの先端のドリルで地盤を崩しスラリー状にするまではリーバースと同じであるが、BHの場合にはロッドから先端に水を送り込んで上昇水流を作り、スラリーを上に押し上げるのである。BH工法のほうが方法としては簡単で先に開発されたので、リバースはBHに対して逆の水流を作ることから命名されたのである。

孔内はスラリーで土粒子が浮遊しながら上がってくるのを、杭のきわに溝を掘ってスラリーを溜めて、土粒子をパワーショベルで掻い出し、泥水は再びロッドへ戻していく、という方法が最も簡単な施工法である(水槽を用意したりすることもある)。

従って狭小な敷地でも施工が可能なことがBH工法の利点であり、過密化された都市の中で小さな敷地に例えば6階建ての建築をする場合に使われている。

一方、短所としては施工方法でも分かるように、杭としての品質は他の場所打ち杭に比べ劣っている。支持層への定着については、支持層が礫の場合、礫径が大きいとBHでは地上まで粒子が上がってこないことがある。結局、大きな粒子はいったん崩され、コンクリート打設時には沈んで支持層との間に挟まれ残存することになる。

スライム処理が十分できない(敷地が狭く専用のスライム処理機を置けない)ことから、コンクリート打設においてスライムを巻き込むことになり、コンクリートの品質に影響する。

それらの短所は極めて問題であり、2000年の建築基準法の改正ではBH工法は場所打ち杭から外されている。しかし今までの施工実績があること、慣例として支持力を15%低減して設計することから、今でも「建築主事」の判断で建築確認がなされている。

このように問題のある工法であるが、掘削までは従来工法で行い、掘削終了後、別のロッドを下してサンドポンプでスライム処理を行う方法が開発されている。この方法では、コンクリート打設前には泥水中に浮遊する砂分を少なくすることにより、支持層への確実な定着とコンクリートへのスライム巻き込みを防止している。

又、BH工法ではないが、ほぼ同じ大きさの機械でリバース工法と同じようにロッドからスラリーを吸い上げる小型機械が開発されたり、後で解説する「既成杭工法」の中で狭小敷地で施工可能な工法も出来ていることなどから、旧来のBH工法のままでは採用はするべきではない。













基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-オールケーシング工法) [基礎構造]

オールケーシング工法は地盤を掘削するときの孔壁の崩壊防止のため、鋼製のケーシング(大型パイプ)を地盤に差し込む工法である。建築ではコストや敷地境界での作業が難しいことから、最近はあまり使われないが土木の分野では多く使われている。

オールケーシング工法は「安定液」を使わないので、スライム処理は必要なく、又、コンクリートの品質が良いと考えられている。又、掘削土は基本的に「残土」として「埋め立て」などに有効利用される。

施工機械は「ベノト機」と「全周回転機」があり、前者は60度の部分的な回転を向きをが約二交互に行い、地盤を削るが、後者は360度回転し、掘削時は時計回り、引き抜き時は反時計回りの連続して回転する。

最近ではすべて「全周回転機」が使われているのは、ベノト機械に比べ回転トルクが大きく、固い地盤(既設建物や既存杭)でも、ケーシング先端の刃(ビット)により削孔ができるからである。補助クレーンはどちらも必要なので、コスト、工期(施工能率)も結果として「全周回転機」のほうが優れている。

施工順序は機械を杭芯に合わせ、ケーシングをセットして回転させながら地盤に押し込んでいく。1mくらい押し込んだら、クレーンによってつりさげられた「クラブバケット」をケーシング内に落とし込みm土をかみ銜える。

文章だけでは「かみ銜える」のは想像するのは難しいので、「全周回転機」「クラブバケット」は検索して確かめていただきたい。今までのブログでの説明も写真などを掲載していないので、検索によって確かめられたい。

掘削はケーシングを先行して貫入させて、バケットで土をを浚うのが原則である。バケットによる掘削を先行させると、先端部は地盤が露出し、砂や礫層では崩れる恐れがあるからである。

又、地下水がある場合には孔内にそのまま溜めておく。孔内に水がたまるとバケットが落下する速度が遅くなり、土を加えにくくなり効率が落ちる。しかし水が出てきた砂or礫層の下に水を通しにくい粘性土層があり、さらにその下にはまた地下水のある砂or礫層があると、通常「被圧地下水」がある。

孔内に水を張ってないとバケットで粘性土を掘削した瞬間に「被圧地下水」が吹き上がり「ボイリング」現象が起こって、先端の地盤が緩んだり崩れたりしてしまう。もし下部の砂or礫層が支持層であったら杭の耐力が得られないことになるので、オールケーシング工法の最も重要な「管理項目」の一つである。

掘削が支持層に達したら、クラブバケットは静かに下して杭底が平らになるよう整形する。地下水がある場合にケーシング内に封水されていた場合には、スライム処理が必要となることがある。

鉄筋籠の製作はアースドリル工法と同じであるが、籠を杭の中心に据えるために地盤と籠の隙間(150㎜以上が望ましい)に「スペーサー」金物を籠に取り付けてある。スペーサーは手棋院ではなく、FB(フラットバー、幅30~50mmの平鋼)が望ましい。

オールケーシング工法では、このスペーサーがケーシングに接触して、コンクリート打設の時にケーシングを徐々に引き上げる際に、鉄筋籠が「共上がり」することがあるので、大きさや取り付け位置精度など注意する。

コンクリート打設では「トレミー管」を用い、管理項目はアースドリルと同じである。ケーシングはコンクリートが打設されるごとに充填されたことを確認し、コンクリート打設分、徐々に引き上げる。余盛はアースドリルより少なくて良いが、0.5mは必要である。これはコンクリートの「ブリージング」発生するためである。

設計された高さまでのコンクリー打設後、6時間以上置いて「空掘り」部の埋め戻しををこない、ケーシングを完全に引き上げる。上部地盤の崩壊の恐れがない場合(空掘りは地価がないときは2m程度なので、地盤に粘着力があれば自立する)には、コンクリートとケーシングが付着してしまうのを回避するため、コンクリート打設着すぐに引き抜くことがある。

「全周回転機」は既存の建物や杭の撤去に使われると上述したが、市街地などの建て替えには欠かせない機械であり、解体撤去後も、杭工事(例えばアースドリルでも)期間中に「合番」機械として現場に置き続けることがある。













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