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現場勤務の思い出⑩-鉄骨工事 [建築施工]

鉄骨工事の「精度管理」は重要な品質管理である。建築学会の標準仕様書では、鉄骨精度は1/500とされている。この規準は柱1本についてのもので、地上から屋上までの高さに対してのものではない。1/500と少ないようだが、高さ200mの超高層ビルだと0.4mになってしまう。従って傾斜に対しては、次の建方の柱で逆の方向に傾け修正するのである。

精度管理の要点は

1. スパン調整 柱間隔の保持
2. 柱の調整  柱の鉛直度の保持

である。スパン調整は基本的には工場で製作される梁の長さで決まってしまうのだが、柱と接合するがセットプレートのボルト孔には±1.0㎜のクリアランスがある。従って両端部で±2.0㎜の調節ができるのである。鉄骨の溶接では一般に、1か所で溶接後は0.5~1.0㎜収縮するので、多くの現場ではスパン調整として、正規のスパンより1mm長くボルト孔で調整している。

柱の調整は「歪み取りワイヤー」で行う。スパンごとに柱の頂部から斜めにブレース状にワイヤーを張って、ターンバックルを使用して柱を垂直にする。ただしスパン調整をするから、建物の中心の柱は垂直であるが、外側に向かって柱は徐々に外側に倒れて固定する。この様にして精度管理を行うと、梁の溶接後には全ての柱が垂直になるのである。

新入社員の筆者は毎日、鉄骨の鍛冶工と鳶工及び(測量士?)と一緒に精度管理を行った。なお計測したのは測量士を雇ったか、或いは墨出し大工だったか定かでない。筆者と鉄骨メーカーからの社員とでトランシットを使い行ったような覚えがある。

鉄骨精度を確保しないと問題になるのは、外装カーテンウォールとの「納まり」である。納まるためには精度としては外側に対しては+20mmまでであった。そうしないとカーテンウォールの「方立:マリオン」に鉄骨(2次部材ではあるが工場で取り付けてある)がぶつかってしまう。

又、エレベーター工事との「納まり」があって、これも一般には最大で±50㎜の余裕しかない。エレベーターの乗り心地で最重要なのが、エレベーターの籠のレールの鉛直制度なのである。世界に名だたる日本のEV会社の技術は、実は現場で取り付けるレールの鉛直精度が最重要であって、それは取り付ける作業員のスキルに負うのである。作業員は鉄骨とのクリアランスの中で最高の鉛直精度のレールを取り付けていく。

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アスクル火災③-効率化重視し、消防法違反 [建築事故]

埼玉県三芳町の通販会社「アスクル」の物流倉庫で発生した火災で、県警に消防法違反容疑で書類送検された物流センター長は違法保管を供述していることが28日、県警への取材で分かった。効率化を重視し過ぎた結果、消防法を軽視していた実態が浮き彫りになった。フォークリフトから出火した原因も判明。県警は関係団体に情報提供し、再発防止策を求めた。

県警によると、倉庫を管理する子会社「アスクルロジスト」は物流倉庫とは別に、地元消防から許可を得て、約15m離れた場所に通常より多くの量の危険物を保管できる危険物貯蔵所があった。計286品目、約12000点の殺虫剤などの危険物があったが、基準を超えた分の危険物を貯蔵所で保管しなかった理由について、男は「余分な時間と労力がかかるので、貯蔵所に移さなかった」と説明。県警は、出荷遅れを恐れ、違法状態が常態化していたとみている。

出火原因をめぐっては、フォークリフトのエンジンルーム内に段ボール片が入り込み、エンジン付近の高温になる金属製の管に触れて発火、床にある他の段ボールに燃え移ったとみている。火災が起きた端材室は多量の段ボールが堆積。高さ約3mもの段ボールが積み上がっていることもあったという。2017/7/29 産経

この事件については本ブログでも、火災事故原因消火作業の遅れについて2回取り上げている。事後原因は①タバコなどの火の始末の過失で段ボールに引火②スプリンクラーが作動しなかった③防火シャッターが荷物で下がらなかった、などを挙げた。推定なので当たらないのは当然ではあるが、「段ボール」が火災原因であったことは半分くらい的中している。

しかし火災事故原因がこれほどまでに「人的要因」であるとは驚きである。「余分な時間と労力がかかるので、貯蔵所に移さなかった」とは安全を蔑ろにした呆れた言い訳である。これは消防法に対する確信犯である。

倉庫業では当然建物自体は勿論、輸送を委託された商品についても保険をかけているが、重過失による火災に関して保険金は支払われない。アスクルにとって子会社に賠償請求することができるのか、そしてその子会社を債務超過で破産させることが出来るのかは知らないが、常識的には出来ないだろう。

アスクルの筆頭株主はソフトバンクだから倒産することは無いだろうが、失墜した信用の回復には時間が掛るであろう。尤もグループ会社製品の輸送が主であろうから、顧客が減少することは無いのかもしれない。

巨大グルーブ会社の子会社の倫理観の欠如による事故としては、三菱自動車の車輪脱落事故が思い出される。「親方日丸」ではないが、子会社には「破産の恐れ」は無く、一方、親会社に比べ給与が低く、又、天下りを受けている。この様な風土が「倫理観の欠如」を生むのではないだろうか?

これだけの火災事故である、再発防止を行わなければ何の進歩もない事になる。原因が「故意による過失」であるから、これには罰則を強化するしかない。子会社だけでなく、請け負わせた親会社の管理責任にも罰則を適用するかは議論の分かれるところである。

建築的には、外壁の開口が少なく、消防隊員が入れなかったことも火災が長期化した原因であった。30mに一カ所は必要ではないか?

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核のごみ最終処分地選定へ-「科学的特性マップ」を公開 [環境問題]

経済産業省は28日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を地中深くに投棄する「地層処分」の適否について、日本地図を4色に塗り分けて示した「科学的特性マップ」を初めて公表した。地図の公表によって、核のごみの最終処分地について国民の関心を高めることが狙い。マップを活用した説明会を今秋以降、全国で開催し、地域の理解を得た上で、将来的な処分地選定調査につなげたい考えだ。2017/7/28 産経

公開された「科学的特性マップ」は詳細でありここでは掲載できないので、下記のリンクを参照されたい。
「科学的特性マップ」資源エネルギー庁

これを見ると

1. 候補地は海岸近くである
2. 海岸近くで適さない地域

となっており、解説では

1. 候補地は海岸から近い(沿岸から20km以内)ところで、輸送時のリスクを考慮したのであろう
2. 海岸近くで適さない地域に関しては
① 火山活動地域
② 地震時の断層がある
③ 著しい隆起、浸食がある
④ 地熱が高い(地下300mで100℃以上)
⑤ 地下水のPHが4.8未満の酸性
⑥ 地下300mまでが1万年以降の地層
⑦ 鉱物資源が見込まれる地域

が選定した理由である。候補地に挙げられた地域では迷惑なことであろうが、あくまで候補であって、今後の地域との協議に拠って進めるとしている。

一般の廃棄物の処理場を造る際にも多くの住民の反対運動が起きるのである。まして放射性廃棄物の処理場である。それは核物質は自然界では半減期が数万年と言われるものである。その様な地域では幾ら地下300mで地表には放射能は上がってこない、と説明されても「豊洲市場」ですら問題視されているのである。「安心」できるわけがない。農作物や水産物の風評被害も懸念される。

しかし「バーゼル条約」によって、廃棄物は日本国内で処分しなければならない。例えば開発途上国にお金を出して保管してもらう事は出来ない。これは道徳上も当然のことで、近年特に騒がれている「差別」そのものである。

ゴミ問題は家庭内でも、分別したゴミを収集日までどこに置いておくかは主婦の頭痛の種であり、ゴミの集積場所も、どの家の前にするかは大変な問題である。誰だって自分の所は嫌である。しかし核のごみ最終処分地はどこかに決めなければならないのは自明なのである。

だから原発稼働反対、という人たちはあまりに短絡である。今やめても日本には既に多くの核のごみがあるし、将来的には原発はやめるとしても、代替燃料や再生可能エネルギーが日本の持続的発展を保障できるまでは、原発頼みなのである。中東情勢如何では安い石油が高騰する可能性は否定できず、そうなれば日本の貿易収支は一気に莫大な赤字になるのである。

以上を纏めれば、今とりうる政策は原発の再稼働期間を例えば今後40年と公約して、これから10年くらいは優秀な学生を原子力分野に高待遇で来てもらう。そして原発の廃棄物処理を含めた廃炉についての研究をしてもらうのである。40年間も研究したら核物質を分解する技術も生まれるのではないだろうか?

「人知を尽くして天命を待つ」という教えがある。誰かが原子力に正面から立ち向かうしかないのである。それが出来るのは若者だと筆者は考える。

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現場勤務の思い出⑨-鉄骨工事 [建築施工]

鉄骨建て方、と言えば鳶工がサーカスのように細い梁の上を歩くイメージがあると思うが、それは東京タワーを建てた時代である。東京タワーの建て方は電波塔を建てているような作業員が集められたのだろう。

しかし霞が関ビルの時には梁を取り付けた後、柱から「親綱」を渡してそれを手摺代わりに鳶が梁を渡って行くようになった。高所作業をする作業員全てが安全帯を装着していたが、まだ、親綱に安全帯の命綱をかけるまでには至ってなかったようだ。渡るのに面倒だからである。

又、霞が関ビルの時代には「水平養生」についてもせいぜい4フロアに付き1フロアにネットを張る程度であった。建物外周に張るネット(垂直養生)は現在も使う25mm目のネットであるが、床のコンクリート打設の時にその階をシートで覆う事まではしていない。

筆者の最初の現場では霞が関ビルの時よりは安全管理は進んでおり、梁を渡る時には親綱に命綱を付けて渡る様計画し、実施していた。ただし全ての作業員がその様にしていたわけではなかった。本来計画したゼネコン社員としては命綱を使用してなかったらその場で注意すべきであるが、何しろ鉄骨建て方中は危険だから、近づかない上司からに言われていたので、「管理」は十分ではなかった。

筆者に出来る事は明日の作業内容、所要人員を書く「作業指示書」に安全指示事項として「安全帯の使用」を記載することであった。これはもし墜落事故が起きた時にゼネコンとして「最低限の管理」をした証拠となるからである。

又、現場を回って「親綱」が外れていないかを確認することであった。もし外れていれば筆者に出来るような取り付け方法(フックなど)であれば付け直すが、基本的にはもし親綱が外れて事故を防げなかったら筆者(ゼネコン)の責任になるから、鳶工に指示して付ける必要がある。そうした場合たとえ1か所の親綱の取り付けでも高層ビルともなれば、地上から行く場合結構な手間となるから「常傭清算」となる。日頃から鳶と仲良くしておけば、その位の事であればサービスでやってくれるのだが。

ところで安全帯の使い方であるが、「千葉・市川、点検作業中にクレーンで宙づり死亡2017/7/23 産経」という報道があった。命綱で宙づりである。つまり安全帯を装備し命綱を使っていたにも関わらず死亡したのである。原因は不明だが、安全帯の使用方法が間違っていたと推定される。

命綱の位置は背中ではいけない。背中にあると落下した時に「さば折り」状態となって背骨を損傷するからである。又、命綱は自分の「へそ」より上の親綱に付けなければならない。命綱の長さは1.2mくらいだが、もし親綱が足元にあった場合、落下すると1.2m+安全帯の高さ分落下する。つまり2mくらい落下することになって、時速22kmとなる。時速22kmで安全帯(幅は5cm)を引っ張られたら、身体には相当な衝撃力となるのである。

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現場勤務の思い出⑧-鉄骨工事 [建築施工]

鉄骨工事の要諦は施工計画の完成度である。鉄骨は工場で製作され、現場では組立だけであり、施工計画に問題が無ければ現場は円滑に進捗する。だから「現場管理」は重要では無い、という訳ではないが、実績がある鉄骨メーカーと建て方を担当する協力会社に任せておいても大体上手く施工されるのである。

「段取り八分」とは「施工管理」する上で仕事量として計画が8割で、作業が2割と言うほどの意味で、計画の重要性を説いたものである。鉄骨工事はまさに「段取り八分」と言う事になる。計画に十分な検討、時間、労力をかけずに不備があると、その対処の為現場作業は混乱し、「手戻り・手直し」の連続となり、対策が後手々々になってしまうのである。そうなると、品質(Q)・コスト(C)・工期(D)・安全(S)・環境(E)全てに悪影響を及ぼす。

鉄骨計画、準備の要点としては

1.鉄骨メーカーの選定  品質確保の為と、工事費の10%近くになるから最も重要である
2.鉄骨建て方計画    立体建て方、水平建て方ほか
3.工程計画       メーカー選定、ロール発注など現場以外でのスケジュール
4.鉄骨製作図      外装都のクリアランス確認、意匠図・構造図・設備図との整合
5.品質管理       現場溶接(溶接資格、検査方法)、高力ボルト、工場検査
6.安全計画       水平、垂直養生
7.鉄骨移送、搬入計画  移送ルート(届け出)、現場ゲートの広さ
8. 鉄骨の補強      タワークレー設置補強、台風時の仮設筋交いワイヤー
9.作業地盤       移動式クレーンの場合の地盤支持力

等が直ぐ思いつく。「逆打工法」では杭工事の時に鉄骨が必要だから極めて忙しい事になる。

最初の現場の時(床付け)には既に鉄骨計画はほぼ完成しており、筆者は計画には関与できなかった(実力も無い)ので、先輩に習いながら日常管理をしたのである。

今は分からないが、当時はゼネコンの社員は、「主職:大工、鉄筋、鳶土工」の棒芯やその上の親方から随分可愛がられた。飲みに連れていってもらったり、正月には5kgくらいの「きんとん」を貰ったりした。現場所長となると、自宅に鳶土工の棒芯が門松を飾っていた様だ。

作業員と仲良くなるのは善し悪しであるが、慣れ合いに注意すればよい面が多いはずである。今回の鉄骨工事の為に新しく来た鳶工から筆者は記念写真を頼まれた。デッキプレートの上に並んだ鳶工たちの真ん中に座っていた。これは間違いなく次の鉄骨現場での自己アピールの為で、謂わば履歴書になるのだろう。有名な工事ともなれば職人にとって「勲章」かもしれない。

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被災建築物応急危険度判定士-大地震への対応 [大地震対策]

昨日25日の午後、申し込んでいた被災建築物応急危険度判定士講習を受けてきた。講習を受ける気になったのは昨年の熊本地震や、今後発生する確率が高い首都圏大地震に対して、自分が何か出来るのではないかと考えたからである。講習が無料なことも動機の一つである。

被災建築物応急危険度判定士とは大地震の際に被災した建物をいち早く調査して、2次災害(余震による倒壊や、外壁の落下等による被害)を防ぐためである。「緊急」かつ「暫定」の結論であり、例えば「罹災証明」の為の調査とは異なる。

講習会に参加するには一級、二級建築士、木造建築士および建築行政に関わる人で、建築構造等の知識がある必要がある。今回は60名くらいだったが、若い人が多く、おそらく建築行政の人のように思えた。講習内容は制度の概要、調査方法(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)及び調査活動の実際である。合計2時間半で、2時に始まり4時半には修了証と登録証を受け取った。

筆者としては何か技術的な新しい知識を期待したのだが、ほとんど皆無であった。そもそも講習で使用した被災建築物応急危険度判定マニュアルは1998年版なのである。又、講師も学識経験者でもなく、実際に被災地に行って調査したこともなさそうな解説だったので、いささか落胆した。

昨年の熊本地震では「本震」と思われた震度7の地震が実は「前震」で、2日後に再び震度7の本震が発生し、多くの犠牲者が出たのである。前震のときに危険度判定をしたかどうかは知らないが、もし「危険なし」や「要注意」と判定していて、本震でその建物が倒壊したらどうなるのか気になっていた。

しかしその様な話は出る事は無く、又講習の最後に質問時間は無かったので聴くことは出来ない。尤も質問してもおそらく答えられないとも思える。どうも講習の目的は、出来るだけ判定士にして登録してもらいたいようだ。何しろ大地震時にボランティアで参加してくれるのはかなり少ないと思われるからである。熊本地震では述べ6819人が参加し、行政5254人、民間1565人である。

無料で講習を受けておいて批判ばかりで恐縮であるが、少なくとも筆者は講習修了の際に承諾書を出して登録したし、判定士なるものがどの様なものか分かったのは意味があったと考えている。尤も筆者の年齢では、はたして活躍の時が来るのか分からない。来ない方(大地震が起きない)が良いのだが。

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道後温泉本館の耐震補強-工期は7年、26億円と試算 [建設関連ニュース]

国の重要文化財「道後温泉本館」(松山市)の老朽化に伴う耐震補強工事を地元の温泉街関係者や大学教授らが検討する審議会の会合が24日、同市で開かれ、市の担当者は工期が約7年間で、事業費は約26億円に上るとの試算を説明した。

着工時期は来年の秋以降となる見通し。道後温泉本館を管理する松山市は集客への影響を少なくするために、工期中も部分的に営業を続ける方針を決めている。

松山市の市長は「松山の宝である道後温泉本館を次の世代に引き継いでいくために必要な工事。ご理解とご協力をお願いします」とのコメントを出した。現在の道後温泉本館は明治27(1894)年に改築された木造3階建て。観光地として知られ、昨年度は約80万3千人が訪れた。2017/7/24 産経

道後温泉本館外観.jpg

道後温泉本館

道後温泉は4年前に、家内と愛媛に2泊3日の旅行をした時の観光目的のひとつであった。当然湯を戴いたのだが、家内は2回も入りに行った。1階に「神の湯」、2階に「霊の湯(たまのゆ)」があるが筆者は霊の湯だけで、家内は神の湯にも行ったのであった。

湯あがりに3階の休憩室で坊ちゃん団子を食べ、そして夏目漱石ゆかりの資料の置かれた部屋、「坊ちゃんの間」を見学した。100年以上も経っているがメンテナンスも良くて、なかなか居心地の良さそうな部屋であった。夏目漱石が愛媛県尋常中学校の教師をしていた時に利用していた部屋だそうだが、当時の教師は偉かったのだろう。

坊ちゃんの間.jpg

坊ちゃんの間

写真は筆者が撮影したのだが、道後温泉本館の周りはすっかり新しい街になっており、道後温泉本館が100年以上も前の建物なのは、何か神秘的ですらあった。建築学的価値については筆者には知識は乏しいが、国の重要文化財(文化施設)に指定されているくらいだから、松山市が大切にしているのは当然である。

道後温泉本館は多分延べ床面積は1500m2くらいだと思うが、耐震補強に26億円、工期が7年もかかると言うのは驚きである。東京駅が5年で免震化工事が出来たのに比べて、随分と掛るものだと思う。
道後温泉本館は松山市の観光名所で経済効果も高い施設だから、当然営業しながらの工事となる。東京駅は1日の乗降客は45万人だから、改修工事は大変であったと聞く。しかし規模は小さくとも道後温泉本館の改修工事も細かく区画されて順次改修工事を行う事から、7年も掛ってしまうのだろう。

工事費についても仮に述べ床面積が1500m2とすれが、173万円/m2(坪572万円)と相当なものである。解体して新築出来る工事費である。しかし重要文化財だから耐震補強で「鉄骨」を使うのは仕方ないが、木材については出来るだけ再利用し、新しくする場合には樹種を同じくする必要がある。又、寺社建築の宮大工かもしれない。そして工期が長いと経費がかさむから、費用が掛ってしまうのも仕方がない事なのだろう。

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再エネ買取総額、2050年度に累計94兆円-電気料金に上乗せ、国民負担増も懸念 [環境問題]

太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電力を大手電力会社が一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」で、2050年度までの買い取り総額が累計で94兆円に達することが22日、電力中央研究所の試算で分かった。この制度の買い取り価格は火力発電や原子力発電より高く、その分は電気料金に上乗せされる。買い取り総額の膨張は国民負担の増大に直結するため、政府は見直しに着手。制度継続には国民の理解が必要になりそうだ。2017/7/23 産経

この「固定価格買い取り制度」は2012年7月1日、再生可能エネルギー特別措置法が施行された。民主党の菅直人政権の時、ソフトバンクの孫正義の「最低でも税抜き40円」を取り入れて始まったが、その後買い取り価格は年々下がってきてはいるが、最初に申し込んだ事業者との契約は続くので、通常の電気料金より高く購入せざるを得ない電力会社は、需要者にその分の上乗せした額が膨らんでいるのである。

自然エネルギー政策が成功したのはドイツであるが、太陽光発電の装置の低価格化が進み、あまりに通常価格と乖離した為、2016年に6月8日に「固定価格買い取り制度」は2017年から廃止することを決定した。

日本の場合、買い取り価格が始まった2012年時点では発電量が10Kw以上の場合、43.20円/whを20年保証するものである。そして今年度は22.68円/whで20年となっている。つまり20円値下がりしているのだが、逆にいえば最初に認可された事業者は20円/wh以上儲かっていて、今後15年間はその利益が保障されているのである。

最も5年前と今日では発電効率は進歩しているので、現在の算定で比較するのは公平ではない。しかし2012年当時でも発電量が10Kw以下の場合の契約期間は10年だったから、発電効率の進歩についてではなく、契約期間については議論の余地がある。

ところで静岡県伊東市八幡野に大規模な太陽光発電所の建設に対して、地域住民が反対しており、行政も計画の白紙撤回を要請している。しかし事業者は既に多額の投資(おそらく土地の買収費用)しており、白紙撤回は出来ないと主張している。

住民の反対は地滑りや土砂災害のリスクが高くなること、漁業への影響及び景観破壊である。反対しているのは認可権を持つ市長だけではなく、静岡県知事も同じである。筆者は金儲けしか考えない事業計画に対しては当然ながら反対であるし、事業者が海外資本が日本の広大な土地の買収にも反対する。市長、県知事の政治家としての力量を示してもらいたい。

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現場勤務の思い出⑦-鉄骨工事 [建築施工]

鉄骨工事は建築工事の中で最も華々しい工事ではないだろうか?鉄骨は建物が仕上がると隠れてしまう設計が多いが、その分、むき出しの鉄骨の時には、昨日無かった空間にいきなり建物の外郭を作っていくからインパクトがあると思う。

新入社員の時に鉄骨工事を担当出来たのは、筆者には幸運であった。それも工場の鉄骨ではなく、事務所ビルでタワークレーでの建て方である。この経験はそれから担当するかもしれない「超高層ビル(新宿には3本建方の最中であった)」でも役立つに違いない、と思ったものである。

タワークレーン.jpg

タワークレーンでの鉄骨建て方

鉄骨建て方に当たっては、基本は揚重計画である。タワークレーンを建てるのか、移動式クレーンで建てるのか、その他リフトアップとかトラベリング工法などある。当現場では鉄道近接工事であり、安定性があるタワークレーンが選ばれた。他にも地上11階であること、「妻側」の外装がPCCW(プレキャストコンクリート版の外装)だったことも選定理由であった。

移動式タワーモードクレーン2.jpg

移動式クレーンでの鉄骨建て方

小型の揚重機であれば届け出だけで済むが、タワークレーンは組み立てられた後、労働基準監督署の検査を受け、定格荷重の1.25倍の荷重を吊りあげて問題ないか確認する。労働基準監督官の都合もあるので、検査日が決まったら間違いなく組みあげておかなくてはならない。

クレーンによる鉄骨建て方は施工条件に拠るが、1日におよそ30~50ピースの組み立てができる。柱、梁、子梁、ブレース等全て数え上げる。そして1日にどの範囲の建て方を行うか決めるのである。鉄骨は3層が1柱になっており、桁方向はスパンが3.1mだったので、梁は柱に工場で溶接してあり、キ印の形で搬入された。梁の接合は「高力ボルト」である。

梁間方向は、梁は柱に現場溶接する設計であった。ただしウェブは「高力ボルト」接合である。これは施工性を考えてのことで、当時、すでに一般的な接合方法であった。筆者は「高力ボルト」と溶接の検査を担当した。しかし「高力ボルト」は「トルシア型」であって、ボルトのチップが取れているかの確認だけで、溶接の方は「専門業者任せで報告を受けるだけであった。

新入社員だからこの様な「業者任せ」は仕方ないとも言えるが、次の現場では更に細かい(高度な)管理が必要なことを学んだのだった。

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日本橋の首都高地下化、五輪後着工-景観改善へ [建設関連ニュース]

東京・日本橋周辺の景観を改善するため、国土交通省は21日、日本橋の上を走る首都高速道路の地下化に取り組むと発表した。事業費は数千億円に上るとみられる。国と東京都、首都高速道路会社などが協力し、2020年に開催される東京五輪・パラリンピック終了後に着工する方針だ。

同省によると、日本橋周辺では民間業者が再開発事業を検討しており、地下化を再開発に組み込むことで、事業費の縮減を図る。地下化区間は、首都高都心環状線の竹橋―江戸橋両ジャンクション間(約2.9km)を軸に、今後、具体策を都や首都高速道路会社と検討していく。

21日の閣議後の記者会見で、石井国交相は「単なる老朽化した首都高速の更新にとどまらない、魅力ある都市景観の再生のため、都などと協力して地下化に向けて取り組む」と述べた。2017/07/21日 読売(写真も)

日本橋の上を走る首都高都心環状線.jpg

日本橋の上を走る首都高都心環状線

筆者は運転免許を取るのが遅かったせいもあって、運転は下手である。下手ではあるが特に問題を起こしたことが無いのは、危ないところは通らないことにしているのである。その危ないところとは、例えば首都高なのである。

首都高は60年以上前に作られたのだが、誰が設計したか知らないが、筆者の様な下手なドライバーには非常に危険な道路である。先ず路側帯が無い。カーブが急である。インターから入る時に助走の長さが短く、路側帯が無い事も相まって極めて危険である。従って筆者が実家に帰るときには首都高を使った方が早い事は分かっているが、下道しか使わない。

そしてこれが一番問題なのだが、阪神大震災で横倒しになった高速道と同じく、今後首都圏直下型地震が起きれば多くの区間で首都高は被災するであろう。阪神大震災に柱のせん断補強をしているけれども、そもそも耐震基準が違って(小さく)設計された構造物であるから、小手先の補強では十分な効果は期待できないと思う。

ところで本題の日本橋に架かる首都高であるが、このことはかなり前から話があったように思う。しかしあまりに高い建設費から実現は無理と思われていた。しかしこのところの(庶民には実感のない)景気から、改めて出てきたのであろう。

確かに本来江戸時代の面影を偲ぶ日本橋であるはずが、首都高が空を隠してしまっては、情感も何もあったものではなかった。勿論江戸時代の木造のままではないが、1911年完成のこの橋は重要文化財に指定されるほどの出来栄えなのである。

しかし東京五輪後に着工すると言うのは、如何にも五輪後には建設業界の仕事が無くなるのを見越してのことである。建設業界の仕掛けた計画、という批判もあるかもしれないが、五輪後には何も建設業だけでなく、日本全体が不況になる事も予想されているのである。

個人消費が全然触れない現状である。五輪後の不況を考え、更には「国土強靭化」や「観光大国」を目指す政策として、公共工事は必要である。期待したい。

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