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築地市場の豊洲市場への移転-18(市場問題プロジェクトチーム) [豊洲市場問題]

築地市場の移転先となる豊洲市場の地下水モニタリング調査で、初めて環境基準を上回る有害物質のベンゼンやヒ素が検出された。専門家は「人体への直接的な影響は考えにくい」と指摘するものの、豊洲市場のイメージは一層悪化。築地市場で働く業者からは、移転延期の長期化に対する懸念や、豊洲の安全性を不安視する声が改めて渦巻いた。

一方、この検査結果の判明に先立ち、土壌汚染対策などを検証する都の「市場問題プロジェクトチーム」の初会合が29日、都庁で開かれ、施設の安全性や市場関係者から不満が出ている施設の使い勝手など、今後の検討課題を確認した。

委員の一人は「耐震性を改めて検討すべきだ」と指摘。建築設計の委員は、地下空洞の存在を周知してなかった点を問題視しつつ、「地下に空間があることで建物のメンテナンスができる。長寿命化のためには有効で、正しい選択だった」と述べた。9/29 産経

いよいよ都知事によって立ちあげられた「市場問題プロジェクトチーム」の会合が行われた。メンバー構成は環境省出身で弁護士の座長、環境学2名、建設コンサルタント2名、建築設計、建築構造、建築基礎構造各1名の8人である。

会議は1時間半にわたったが、最初でもあり座長が今までの経緯を纏めて紹介し、各委員が現在の所見や今後の検討課題を述べた。委員の中で筆者が知っていたのは建築基礎構造の東工大教授のみである。建築基礎構造を専門とする大学教授は減少しつつあるため、当教授は学会のリーダーである。

会議はインターネットで実況中継され、その録画がサイトに掲載されており見ることにした。注目したのは上記の報道にもある、建築設計の委員の発言で「世間では空洞に関して誤解がある」と切り出した。1階の床下には配管が多数あり、例えば排水管の勾配を考えれば、350m×200mの面積に対して、4m以上の空間が必要だというのである。

又、将来のメンテナンスも普通の二重スラブ(空間高さが1.5mくらいか)では基礎梁の人通孔を通りながらでは大変である。現在の空間ならば設備配管のメンテナンスや取り換えも容易であるし、又、汚染物質の測定もカメラの設置を行う事で、監視体制が万全になる、とも説明した。

流石に多くの設計を手掛けた設計者なので、筆者より設備のことに詳しい。おそらく一般の人が聞いたら、ある程度納得出来るかもしれない。ただし、多くの専門用語が使われたので理解出来るかは疑問である。

筆者はこの委員の建築(設備)技術上の合理性を否定はしないが、しかし建物を設計する場合の条件設定が間違っている、と思う。豊洲市場の設計条件の一番は「安心・安全」な建物を作ることである。ましてや汚染土壌の敷地である。地下水が溜まってしまう、標高がAP=2.0m、TP=0.9mの空洞は、たとえ建築的合理性があっても認められるものではない。

この委員は空洞を作ることによって、「埋め戻し」「盛り土」が省略されコストダウンにつながった、とも発言した。又、この省略は東日本大震災で多くの建設労働者が復興に駆り出された当時、必要な処置でもあったという。

まあ、裁判で言う「情状酌量」に聞こえてしまうのは筆者のみであろうか?














花言葉は「逆境に立ち向かう」-復興したホテル [大地震対策]

3年ぶりに東日本大震災の岩手県の被災地入りされた天皇、皇后両陛下を大槌町にある宿泊先のホテルで、万感の思いで出迎えた人がいる。津波で壊滅的な被害を受け、平成25年8月に再建された「三陸花ホテルはまぎく」社長だ。復興を象徴するホテルの名前には両陛下との浅からぬ因縁があった。

19年前の9年10月、全国豊かな海づくり大会のため、同町を訪れた両陛下は浪板海岸にあった同ホテルの前身のホテルに宿泊された。天皇陛下は海岸線の崖に群生する真っ白な花に目をとめ、後日、ホテル社長がハマギクの苗を両陛下に献上していた。

ホテルは平成23年3月の震災で津波の犠牲となってしまったが、同じ年の10月、皇后さまのお誕生日に宮内庁が公開した写真を見て、皇居・御所に咲く真っ白な花を、両陛下が笑顔で眺められていたのだ。逆境に苦悩していた社長の背中を押したハマギクの花言葉は、「逆境に立ち向かう」だった。9/28 産経

なんとも心温まる話である。天皇、皇后両陛下は東日本大震災後、幾度も被災地を訪れ、避難場所ではお膝をつかれて被災者を励ましていた映像は記憶に新しい。新しい形の象徴天皇を体現されていた。

天皇陛下はハゼ類の分類のご研究で著名な科学研究者であられる。そして皇居内の散策を楽しまれているのを報道されているが、植物の名前を良くご存じだったのである。さらに「ハマギク」の花ことばもご存じだったのではないだろうか。

19年前の両陛下を案内した社長はハマギクであることを間違えてしまったが、それに気付いて苗を献上した。それを大事に皇居内で育て、眺められていた天皇、皇后両陛下のお気持ちは、復興を願うお気持ちの表れであったのである。

ここで技術的な話になるのは無粋な気もするが、再建されたホテルの津波対策がどうなっているのか気になったのである。地上6階建てのホテルは海岸際に建てられている。1階は標高TP+4m程度、2階の玄関はTP+10m、4階の国道側玄関はTP+18mとなっていた。

これでは再度あの大津波が発生すれば、4階くらいまでは津波が襲う事になる。しかしホテルのサイトには6階建ての屋上には「防災避難広場」となっていた。屋上の標高はTP+30mと思われる。この高さの防災避難広場ならば、あの大津波から宿泊客や従業員を守ることが出来るだろう。

グーグルのストリートビューからでは良く分からないが、当然、耐震的にも、津波での漂流物の衝撃にも耐えうる構造になっているのであろう。














築地市場の豊洲市場への移転-18(汚染土の行方) [豊洲市場問題]

汚染された土の処分先と、埋め戻しなどの土の調達についての報道記事があったので、この事についてコメントしたい。いよいよ核心に迫ってきた感がある。

都の汚染対策工事は2012年に始まった。2m掘削削った土は169m3。トラックの積載量などから計算したという。敷地面積は40万m2なので、平均して4m掘削したことになる。提言の「2m掘削」より多い理由は、高潮対策などで海面から4m超の盛り土もあったためという。

掘削土は10mのマス目ごとに汚染度を検査し、六割近くを敷地内に埋め戻している。内訳は、検査で汚染の無かった土が69万m3。本紙の推計では、検査で基準値超の汚染が見つかり浄化した土が29万m3。敷地内に設けた仮設土壌処理プラントで、加熱したり、洗浄したりした。

残り四割強は汚染されたままの土が含まれており、東京湾の埋め立て地にある都の処分場に63万m3、民間処分場に8万m3が運ばれたとみられる。都の処分場は二つに分かれ、うち一つは汚染が多少ある土も埋め立てている。汚染が外洋に広がらないようコンクリートや鋼管で囲っている。

豊洲市場には敷地外からも、公共事業で出た土や購入した石などを運び込んで使っている。量は推計で30万m3とみられる。9/28日 東京新聞

筆者は本ブログで豊洲の記事を書くのは今回で19回目となる(実は5回目を前の4回目と書いてしまっているので回数が重複している)。その中で一貫して今回の事件の真相は「コスト低減」が理由である、と主張している。
そして「コスト低減」のために、建物下の「埋め土:AP2.0~4.0m」「盛土:AP4.0~6.5m」を止めたのである。

今回の報道記事が事実とすれば、状況証拠となって筆者の推論が証明されることになる。報道としてはさらに、都の二つに分かれている処分場のうち、汚染土の処分単価が分かると、「コスト低減」対策の空洞についてさらに明確になるであろう。

東京都の東京卸売市場長の下に新市場整備部があり、整備部長のスタッフとして基盤整備担当部長、施設整備担当部長が配属され、汚染土壌対策は基盤整備担当部長がチームリーダーなのだろう。おそらくチームの大半が土木技術者であろう。土木工事の場合、発注に際しては詳細な事業内容が計画書(事業計画書)として用意されるのが一般である。

そして入札後、請負ったゼネコンは施工前に調査を行い、事業計画書に問題ないかを検証する。例えば今回でいえば現状地盤の標高である。旧地盤は標高AP+4.0mであるが、報道によると実際はかなり多くの盛土がなされていた。従ってゼネコンは当然ながら、設計変更を申し立てる。

さらに旧地盤から2m掘削した土は「汚染されていない」ことが前提で、事業計画書が作成されていたのではないか?とすれば、報道によると全体で169万m3の内、100万m3が汚染されていたのである。これの処分費はおそらく3万円/m3くらいは必要で、300億円の工事費増となってしまう。

明らかに都が作成した事業計画書の間違いだから、東京都の責任である(実際は計画書を作ったのは外部のコンサルタントだと思うが、それでも都の責任は変わらない)。筆者の推定では、その為考えられたのが今回の建物下の空洞なのである。

専門家会議の提言によって、先ず掘削した2m分は外部からの「良土」で埋め戻し、さらに2.5mの盛土は、既存の「盛土:AP2.0~4.0m」の内の汚染されていない土及び外部からの「良土」である。建物下の面積は約18万m2だから、4.5m分の土は81万m3である。これが「節約」出来れば少なくとも50億円はコスト低減となる。

その為には建物下に空洞とすべく、建築設計する必要がある。それこそ筆者が指摘してきた、わざわざ「杭頭キャップ」の設計をすることで、基礎梁の高さ2.5m、「杭頭キャップ」2mの合計4.5mまで建物の構造となるのである。つまり建設時には4.5mの掘削が必要になることになる。

今までの報道では、市場長、新市場整備部長の下に基盤整備担当部長、施設整備担当部長が置かれ、相互の連絡が悪かったとの言い訳が伝えられているが、何のことはない土木・建築の十分な連携のもとでの計画変更なのではないだろうか?

しかしながら基盤整備担当部長、施設整備担当部長の二人が勝手に行ったとは考えにくい。どのレベルまでの上司がいたか、今後の真相が待たれる。













築地市場の豊洲市場への移転-17(環境影響評価-2) [豊洲市場問題]

東京築地市場の移転先となる豊洲市場の建物下に盛り土がなかった問題で、市場を所管する都中央卸売市場が都環境局に対し、豊洲市場建設の工法や設計変更に伴い、環境影響評価書の変更届を計11回、提出する一方で、盛り土の取りやめについては届け出ていなかったことが、都への取材でわかった。都は「盛り土の取りやめだけを届け出なかったのは不自然」として、内部調査を進めている。

中央卸売市場は2010年11月、豊洲市場建設事業の評価書案を同局に提出した。評価書案には、計画地全体の土壌を2mまで入れ替え、建物以外の場所は、その上に2.5mの盛り土を行い、建物のある場所は「根切ねぎり(建物の基礎のために掘った部分)を除く高さまで盛り土する」と記載された。建物下に盛り土をした図も表示された。9/27 読売

建物のある場所は「根切ねぎり(建物の基礎のために掘った部分)を除く高さまで盛り土する」とあるが、分かり易く書くと「建物のある場所は、基礎下端まで盛り土する」となる。2.5mの盛り土だから、例えば建物の基礎深さが2mであれば、0.5mの盛り土をすることになる。

この報道通りの評価書案であれば、今問題となっていることは起こり得なかったと考える。2mの基礎梁部で二重スラブにしていれば最善であるが、基礎底部の「耐圧版」ではなく、「捨てコンクリート」であっても地下水と考えられている現状の溜まり水はなかったであろう。現状の空洞底部の標高はT.P.=0.8656mに対し、上記の案であればT.P.=3.3656mとなり、地下水位(おそらくT.P.=1.0mくらい)より十分高いのである。

しかし現実は、建物下には全く「2mの埋め戻し」も「0.5mの盛り土」も行われなかった。何故行われなかったのか?都の担当者は最初には「配管とそれのメンテナンス」の為と説明し、次は「汚染物質のモニタリング、及び異常時には再度汚染浄化工事を行う」為と言い訳している。

私にはこれらの言い訳には到底納得できない。何故「コスト低減」の為と素直に言わないのか?それはおそらく、コストを優先して安全を蔑ろにしている、との批判に耐えられないからだと思われる。 

汚染土壌の敷地に、何故生鮮市場の築地市場を移転しなければならなかったのか、おそらく様々な検討結果の上での決断だったのだろう。それならば、今の技術で考えられる最高の安全性を持った市場にすべきだったのである。

ところで本ブログで指摘している、世界標準の衛生管理(「HACCP」)について全く報道されていないのは何故なのだろう。或いは「HACCP」ではなく、水産庁が策定している衛生管理の評価基準は行われているのだろうか?













築地市場の豊洲市場への移転-16(専門家会議) [豊洲市場問題]

改めて設置した都の専門家会議の平田座長は地下空間を9月24日に視察後に記者会見し、たまり水が周囲の地下水とほぼ同じ成分だと説明。「雨水がたまったもの」という都の見解を否定した。一方、都の検査結果も公表。15~16日に採取した地下空間の大気から有害物質のベンゼンが検出されたが、「浸入した地下水中のベンゼンが気化したものと思われるが、濃度は十分に低い」と述べ、安全性に問題ないレベルと評価した。

また、地下空間を土で埋める案について、平田氏は「ありえない。やるなら建物を壊さないといけないので、現状のままどうするかを考える」と話した。9/24 朝日

上記報道で筆者が違和感を覚えたのは、後段の「地下空間を土で埋める案はありえない」についてである。平田氏他専門家会議の3人は全て環境衛生学の専門であって、土木建築の専門家ではない。この発言は多分個人的見解であろうが、座長の発言は軽くは無い。報道通りの「断定的」発言であれば問題である。

筆者はこの問題について既に16回ブログを認めているが、繰り返しになるが基本的主張は以下の通りである。

①空洞部分の標高は、以前の地盤T.P.=2.8656m(A.P.+4.0m:この荒川の基準は地盤の標高表示には相応しくない)から2m掘削したT.P.=0.8656mであり、地下水位の変動によって容易に溜まり水となる。
②従って、少なくとも以前の地盤T.P.=2.8656mまでは「良土」で「埋戻し」すべきであった。
③現状のT.P.=5.3656mまでの「盛り土」は、建物部分では基礎梁の高さ2.5mの二重スラブにしておけば、土による「盛り土」よりはるかに機能(遮水、モニタリング)が良かった。
④今の状態を改善するには、空洞を「流動化土」によって2m埋め戻すことが考えられる。

東京都は専門家会議とは別の「市場問題プロジェクトチーム」を設置した。構成メンバー8名の内、筆者の主張が分かるのは、時松東工大教授(基礎構造学)と森高構造部長(建築構造)、森山一級建築士(建築コンサルタント)だけであろう。しかしこの3名の方も「施工」についてはどうなのだろう?













基礎杭の支持力不足による問題-6 建替え費用の分担 [建築事故]

横浜市都筑区のマンション傾斜問題では、正式に全棟建て替えが決まって、住民は来年3月までに移転し、建替えをすることとなった。問題が発覚してから1年経ったわけであるが、こうも早く700世帯の住民の意見が纏まるとは思わなかった。

これは事業主である三井不動産レジデンシャルが、早くから全棟建て替えを表明していたことが大きい。三井不動産レジデンシャルにしてみれば今回の事故は全て設計・施工者が原因であるから、建て替え費用300億円、移転や仮住まい費用の100億円を全て設計・施工者に負わせるつもりなのだろう。

自己負担が無いとすれば、三井不動産レジデンシャルとしては「全棟建て替え」は事業者の誠意の表れであるし、ブランドを守るためには尤も有効な解決策なのであった。しかし三井不動産レジデンシャルにはこの事故に対して全く責任は無いのであろうか?

このマンションは2007年11月の竣工である。当時の建設業界は公共工事の縮小や、民間工事のパイの取り合いによって、建設費は極めて安く請け負わざるを得ない状況であった。特にマンション工事では利益はほとんどなく、三井不動産の大型開発物件をちらつかされてゼネコン各社が請け負っていたのである。

勿論事故の一義的な原因は設計・施工にあるのだが、安く請け負わせた事業者にも(道義的というのだろうか)一定の責任があるのではないだろうか?他にも三井不動産レジデンシャルには品質監理部署(関連会社)があって、100名を超す建築のベテランが在籍している。その多くはゼネコンの中途採用やOBである。

品質監理部署の担当者は現場での定例会議に同席するし、検査にも立ち会う。何しろゼネコンのベテランであるから、現場のことに詳しく、問題の起こりそうな時期や箇所は熟知しているのである。従って会議においての発言力は事業者でもあるので、設計や施工者の及ぶところではない。

このようにして造られた建物の品質に、三井不動産レジデンシャルには全く責任は無いのであろうか?品質監理部署の担当者の立場は、公共工事における「監督員」に似ている。監督員は「工事監理者」ではないから、会議で発言はするが(個人の)責任は負わない。

しかし公共工事では相当の理由がある場合、追加工事費や工期の延長や認められるのが通例である。特に土木工事は、ほぼ無制限に認められるのが問題となっている。これが三井不動産レジデンシャルとの違いである。

基礎梁に孔が開けられていた、など杭の沈下以外でも欠陥が出ているが、基本的には全4棟のうち問題の建物は1棟である。全棟建替えは三井不動産レジデンシャルが独断で宣言したのであって、三井住友建設等の了解は得ていない。

もし三井不動産レジデンシャルが費用を全く負担しないとなれば、あまりに独善と思うのだがどうであろう?







築地市場の豊洲市場への移転-15(モニタリング) [豊洲市場問題]

築地市場の豊洲市場への移転問題では、毎日少しずつ事実が公表されていくので、やはりなにか書きたくなってしまうのは、筆者の経歴によるものである。

筆者はゼネコンに40年勤め、主に技術部署にいて現場への技術指導を行ってきた。専門は基礎工事、地下工事、そして環境管理なのであった。まさに今回の件全てにおいて関係する。尚、筆者はこの件当時まだ勤務していたが、当事者でもなければ相談も受けていない。

都の担当者によると空洞は有害物質のモニタリング、及び異常時には対策が出来るよう重機を入れる為だとしている。重機を入れるための「ハッチ」も造っている。一般の人には一応筋が通っているように思えるかもしれない。

しかしながら筆者にはこの「言い訳」が本当とは思えない。なぜなら、モニタリングにはこれだけのスペースの必要は無いし、わざわざ建設前の標高であるA.P.+4.0mより低いA.P.+2.0mにする理由が分からない。A.P.+2.0mは、東京湾の平均潮位T.P.=0.8656mなのである。降雨や気圧によって容易に地下水が上昇する高さなのである。

ついでに、何故、標高を荒川ポイントで表記するのだろう。お台場等はT.P表示である。荒川ポイントは河川あるいは水系ごとに定められた特殊基準面で、近代測量が始められた明治初期に河川ごとに定められたものの名残である。河川の増水を計るための基準を何故、土地の標高に使うのであろう。恣意的なものを感じる(単に関係者が無知なのだろうか)。

異常時の対応の為、重機が入れる空間については、極めて可能性が低いはずの事態の時は、横穴を掘ればよいのである。それとも異常事態の可能性が高いのだろうか?建物外周に井戸を作り、絶えず監視し、有害物質の濃度によっては積極的に揚水して、水に溶け込んだ有害物質を除去すればよいのではないか?その為の浄化設備はあると聞いている。

本ブログで何度も繰り返しているが、旧地盤面A.P.+4.0m(T.P.=2.8656m)までは「良土」で埋め戻し、更に2.5mの盛り土については建物には基礎が必要だから、人工的なコンクリートの二重スラブにすれば何の問題にはならなかったはずなのである。

勿論、アセスメントと異なるので変更手続きは必要であるが、二重スラブは「特別管理産業廃棄物」の「遮断型最終処分場」の構造より有害物質を遮断する機能は高いから、簡単な審査で認められるはずである。

最後に、これもついでながら指摘するが、「盛り土」という言葉がしばしば使われているが、この豊洲の場合、旧地盤では汚染物質があったことから、「①2mの盛り土」をしてA.P.+4.0m(T.P.=2.8656m)となっている。そして、今回の整備により、更に2.5mの「②盛り土」を行っている。東日本大震災時の液状化によって汚染が拡散した「盛り土」は①のことである。












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築地市場の豊洲市場への移転-14(環境影響評価) [豊洲市場問題]

築地市場の移転先となる豊洲市場の主要施設の下に盛り土が行われていなかった問題で、建設前に提出された環境影響評価の評価書にも「盛り土を行う」と実態と異なる趣旨の説明が記されていたことが22日、都への取材で分かった。評価書は都条例で作成が定められており、都は専門家会議の安全性の検証を踏まえて評価書を変更する方針。内容次第では手続きに1年以上かかることも想定され、築地市場の移転延期期間がさらに長期化する可能性が出てきた。9/23産経

豊洲市場が環境影響評価を受けていたことは初めて知ったので、早速ネットで調べてみると、東京都のHPに概要が掲載されていた。「環境に及ぼす影響の評価の結論」と題する概要(P11)の中で、P6に下記が示されている。

「① A.P.+2.0m までの埋戻しには場内の仮置き土、処理済土を最大限活用し、不足分については購入土を使用して埋戻しを行う。②A.P.+2.0m からA.P.+4.0m までの埋戻しは、購入土などのきれいな土で埋戻しを行い、③A.P.+4.0m からA.P.+6.5m までの埋戻しは、すべての特定有害物質が指定基準を満たすきれいな土であることを確認した既存の盛土を用い、不足分については購入土などのきれいな土で盛土を行う。」丸数字:筆者

この評価結果について先ず疑問がある。土壌汚染処理前の地盤は標高A.P.+4.0mである。①の埋戻しについては「仮置き土、処理済土を最大限活用」は合理的である。②の埋戻しも尤もなことである。しかし③については何故「既存の盛土(A.P.+2.0m からA.P.+4.0mの土と思われる)」を使うのか、不可解なのである。

有害物質が基準値以下を確認しても、この③部分が最後の盛り土なのである。基準値以下とはいえ、ゼロではないし、あくまでサンプリング資料なのでバラツキを考慮すべきである。何故、将来的に瑕疵とならない「良土」にしなかったのであろう。むしろ②の材料を③に使うべきではないだろうか?

この問題は毎日TVでも報道され、元市場長や元技術委員が出て説明している。その中で、環境影響評価が出た後に東日本大震災が起きて、建設敷地が一部液状化したとのことである。液状化による「噴砂」が出来て、地下の汚染土壌から有害物質が表層に浸透し、汚染された可能性がある、という考えがあったという。

つまり既存の盛土(A.P.+2.0m からA.P.+4.0mの土と思われる)が液状化によって汚染された、という事である。これを事実として考えれば、「既存の盛土」は③には使えないことになる。勿論、その後に行われた浄化工事で処理すればよいと思うのだが、やはり浄化処理には限界があるのであろう。

これらから推察されることは、上記③のための土は全て外部からの「良土」しか使えないことになる。従ってA.P.+6.5m までの埋戻し工事費が大幅に増えることになる。その為、建物が建設される部分の盛り土工事をやめた、という事が考えられるのである。

貴重な税金を効果的に使うことは当然であるが、コストを優先して安全を蔑ろにすることは許されることではない。環境影響評価は条例で決められたものであり、それを勝手に変更することは法違反でもある。つまり言い訳の出来ない行為であった、と言わざるを得ないのである。

それにしても技術的なことでいえば、建設予定の建物部も、既存地盤の標高のA.P.+4.0mまでは「良土」で埋め戻して欲しかった。そして建物の基礎は深さ2.5mにして二重スラブにしておけば、評価書の変更にはなるが、技術的な問題は無かったと思うのである。勿論、「モニタリング」も出来るのである。












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日本では柱は太いデザインが良い [エッセイ]

日本は世界有数の地震発生国である。国土面積は世界の1%であるが、2000~2009年にかけてマグニチュード5.0以上の地震は全世界の10%、6.0以上の地震が全世界の20%も日本周辺で発生している。

地震も風土と考えれば、日本の建築は地震を意識したデザインにすべき、というのは極論であろうか?例えば背景に奇麗な山並みがある場所に、コンクリート打放しのマンションはどうなのか、という議論と同じことにはならないのだろうか?

筆者はピロティの柱が細い建物を見ると、阪神淡路大震災を視察した時を思い出し、いつか発生する首都圏直下大地震や東海大地震時に、はたして大丈夫か気になるのである。トラウマかもしれない。

従って、今回世界遺産になった西洋美術館(コルビジェの設計)の柱は細く感じてしまい、日本の建築として違和感を覚えてしまう。旧丸の内都庁舎もピロティの柱は同じように細かった。これは設計した丹下健三がコルビジェのモダニズム様式を取り入れたからである。

しかし旧丸の内都庁舎は構造家坪井善勝東大教授によって内部に耐震壁が配置し、地震力を100%負担して設計されているのである。コルビジェの西洋美術館も前川國男・坂倉準三・吉阪隆正が設計協力しており、構造設計したのは構造家木村俊彦であった。

つまり有能な構造家は柱を細くしたい建築家のデザインを叶えるべく、最大限の努力をしているのである。最新の構造学の知識と(卓越した)構造解析技術、そして十分な検討(これら3つは構造設計者の本質的な職能である)をして出来たこの2つの建物も、もし首都圏直下地震が起きたら崩壊は免れないとか思われる。今の設計地震力とあまりに違うからである。

遥か昔の建築家は、設計に関して万能の存在であった。だからハムラビ法典で家が倒れたら建築家は厳しい処罰を受けた。しかし現代は分業の時代である。建築家はデザインだけで、構造は構造設計者の職分である。つまり建築家は構造に関して基本的には責任を負わない。そして構造設計者は事細かに規定された建築基準法関連基・規準に基づいて設計しているから、地震で建物が倒れても法的責任は生じない。

法治国家では法律に従っている限り責任を問われることは無いが、このような仕組みはどうなのだろうか? 技術は必ずしも全てが解明されてから採用されるわけではない。全てが解明されてからでは、技術の進歩は無くなってしまうからである。技術者は「技術」には必ずリスクがあると考えているのである。

しかし阪神淡路、東日本、熊本大震災が起こって、今後30年間で発生確率が70%で首都圏直下地震が起きる、という現在、一般の人は「建築構造にリスクがある」ことを受け入れてくれるのだろうか?

建築主へのインフォームドコンセントの責任者は建築家である。建築家はやはり細い柱が好きなのだろうか?












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築地市場の豊洲市場への移転-13(高床式市場) [豊洲市場問題]

築地市場の移転先となる豊洲市場の主要施設下で盛り土が行われていなかった問題で、都の元中央卸売市場長が20日、平成23年に建物下に盛り土をしない土壌汚染対策工事の発注仕様書を決裁したことを認めた。市場長は「中身を読まないまま押印した。盛り土をしないという内容とは思わなかった」と述べた。

また、汚染対策に関わった前述の市場長を含む19年以降の歴代市場長5人が都の調査に対し、「(建物下に)盛り土をしないとの認識はなかった」などと説明していることも都への取材で判明した。

21年7月16日~23年7月15日、市場移転を進める事務方のトップを務めた前述の市場長によると、決裁をしたのは自らが退職する直前の23年6,7月ごろ。当時は市場の建物を約1mかさ上げした「高床式」で造る計画になっていたといい、建物下にも盛り土は行うとの認識だったという。9/21 産経

今後調査結果が徐々に明らかになっていくので、本来は事実がすべて解明されてからブログを書いた方が良いのだろう。しかしこの問題は建築屋(元と言った方が良いのかもしれない)の筆者にとって、あまりに興味があること、リタイアした者しか書けない事柄もあるのである。

今回は「高床式の設計」について考えてみたい。「高床式」とは日本では弥生時代の建築様式であり、日本は湿気があるので米の保存のために家を地面より高くしたのである。専門家会議の提言を忠実に守るには、浄化された現地盤を2m掘削し良土で「埋め戻し」、さらに2.5mの「盛土」した上に建物を作ることになる。

2mの「埋め戻し」も2.5mの「盛土」も同じ良土だから、分ける必要はないように思われるが、「埋め戻し」と「盛土」は施工が少し違うので、単価が異なるから分けたと思われる。技術的には2mの掘削は地下水が出るかどうかの深さであり、掘削土は浄化されたとはいえ、元汚染土だから廃棄には法的な処理が必要である。

2.5mの「盛土」については、元の地盤の標高がT.P.=2.8656mしかなく、例えば、お台場などはT.P.=6.5mだから、将来の海洋型大地震で東京湾にも津波が寄せた場合、浸水する可能性が高い。盛土をすれば.P.=5.3656mとなり津波対策となるとも考えられる。

設計を担当した設計事務所はおそらく全く掘削しない「高床式」の設計もしたのであろう。所謂「試設計」である。それはおそらく上記の報道にある「約1mのかさ上げ」ではすまない設計であったと思われる。1階の床下には設備配管を通すだろうから、やはり二重床(二重スラブ)となったのではないか?構造的にも基礎梁の高さは、この規模の建物では2mは必要であろう。

高床式の問題点は、先ず車両のアプローチの悪さである。2mを上がるには最低20mの車路が必要となる。建物の入り口は沢山あるから、結局、建物周りに高さ2mの人工地盤を作ることになる。当然杭も必要である。つまり人工地盤の工事費分が高くなるのである。

建物自体については、構造的には杭が問題となる。建物の基礎梁は必ずしも地中にある必要はないが、地震力を考えると出来るだけ深くした方が良い。高層の建物の場合、建物高さの8%くらい基礎を深くするが推奨されている。この建物は高層ではないが25mくらいはあるだろうから、8%は2mになる。

以上から「高床式」は工事費、構造上の問題から見送られたのではないだろうか?物事を決めるにはそこに根拠、合理性が必要である。もし当初予算が大幅な増加が見込まれた時点において、「高床式」の問題点は変更の絶好の口実となる。

さらに、前のブログで指摘しているが、杭と基礎梁を接合するための「杭頭キャップ」が、接合方法によっては基礎梁下から深く下げる必要がある。これをさらに拡大させれば、2mくらいになるだろう。基礎梁の高さを2.5m、「杭頭キャップ」が2mであれば構造的に必要、と言われれば不自然な寸法ではない。

こうすれば、専門家会議の提言の4.5mの「埋め土と盛土」を施工しない「口実」となるが、これは筆者の推察である。果たして真相はどうか?












家具を固定するL形金物は、壁板の奥の柱(又は1/3柱)に取り付けましょう