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基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-BH工法) [基礎構造]

BH工法とはボーリング機械(孔を掘る機械で、地盤調査にも使われる小型のものから、BH杭までの大型のものもある)で掘削する場所打ち杭で、リバース工法と似ている。

即ち、ロッドの先端のドリルで地盤を崩しスラリー状にするまではリーバースと同じであるが、BHの場合にはロッドから先端に水を送り込んで上昇水流を作り、スラリーを上に押し上げるのである。BH工法のほうが方法としては簡単で先に開発されたので、リバースはBHに対して逆の水流を作ることから命名されたのである。

孔内はスラリーで土粒子が浮遊しながら上がってくるのを、杭のきわに溝を掘ってスラリーを溜めて、土粒子をパワーショベルで掻い出し、泥水は再びロッドへ戻していく、という方法が最も簡単な施工法である(水槽を用意したりすることもある)。

従って狭小な敷地でも施工が可能なことがBH工法の利点であり、過密化された都市の中で小さな敷地に例えば6階建ての建築をする場合に使われている。

一方、短所としては施工方法でも分かるように、杭としての品質は他の場所打ち杭に比べ劣っている。支持層への定着については、支持層が礫の場合、礫径が大きいとBHでは地上まで粒子が上がってこないことがある。結局、大きな粒子はいったん崩され、コンクリート打設時には沈んで支持層との間に挟まれ残存することになる。

スライム処理が十分できない(敷地が狭く専用のスライム処理機を置けない)ことから、コンクリート打設においてスライムを巻き込むことになり、コンクリートの品質に影響する。

それらの短所は極めて問題であり、2000年の建築基準法の改正ではBH工法は場所打ち杭から外されている。しかし今までの施工実績があること、慣例として支持力を15%低減して設計することから、今でも「建築主事」の判断で建築確認がなされている。

このように問題のある工法であるが、掘削までは従来工法で行い、掘削終了後、別のロッドを下してサンドポンプでスライム処理を行う方法が開発されている。この方法では、コンクリート打設前には泥水中に浮遊する砂分を少なくすることにより、支持層への確実な定着とコンクリートへのスライム巻き込みを防止している。

又、BH工法ではないが、ほぼ同じ大きさの機械でリバース工法と同じようにロッドからスラリーを吸い上げる小型機械が開発されたり、後で解説する「既成杭工法」の中で狭小敷地で施工可能な工法も出来ていることなどから、旧来のBH工法のままでは採用はするべきではない。













基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-オールケーシング工法) [基礎構造]

オールケーシング工法は地盤を掘削するときの孔壁の崩壊防止のため、鋼製のケーシング(大型パイプ)を地盤に差し込む工法である。建築ではコストや敷地境界での作業が難しいことから、最近はあまり使われないが土木の分野では多く使われている。

オールケーシング工法は「安定液」を使わないので、スライム処理は必要なく、又、コンクリートの品質が良いと考えられている。又、掘削土は基本的に「残土」として「埋め立て」などに有効利用される。

施工機械は「ベノト機」と「全周回転機」があり、前者は60度の部分的な回転を向きをが約二交互に行い、地盤を削るが、後者は360度回転し、掘削時は時計回り、引き抜き時は反時計回りの連続して回転する。

最近ではすべて「全周回転機」が使われているのは、ベノト機械に比べ回転トルクが大きく、固い地盤(既設建物や既存杭)でも、ケーシング先端の刃(ビット)により削孔ができるからである。補助クレーンはどちらも必要なので、コスト、工期(施工能率)も結果として「全周回転機」のほうが優れている。

施工順序は機械を杭芯に合わせ、ケーシングをセットして回転させながら地盤に押し込んでいく。1mくらい押し込んだら、クレーンによってつりさげられた「クラブバケット」をケーシング内に落とし込みm土をかみ銜える。

文章だけでは「かみ銜える」のは想像するのは難しいので、「全周回転機」「クラブバケット」は検索して確かめていただきたい。今までのブログでの説明も写真などを掲載していないので、検索によって確かめられたい。

掘削はケーシングを先行して貫入させて、バケットで土をを浚うのが原則である。バケットによる掘削を先行させると、先端部は地盤が露出し、砂や礫層では崩れる恐れがあるからである。

又、地下水がある場合には孔内にそのまま溜めておく。孔内に水がたまるとバケットが落下する速度が遅くなり、土を加えにくくなり効率が落ちる。しかし水が出てきた砂or礫層の下に水を通しにくい粘性土層があり、さらにその下にはまた地下水のある砂or礫層があると、通常「被圧地下水」がある。

孔内に水を張ってないとバケットで粘性土を掘削した瞬間に「被圧地下水」が吹き上がり「ボイリング」現象が起こって、先端の地盤が緩んだり崩れたりしてしまう。もし下部の砂or礫層が支持層であったら杭の耐力が得られないことになるので、オールケーシング工法の最も重要な「管理項目」の一つである。

掘削が支持層に達したら、クラブバケットは静かに下して杭底が平らになるよう整形する。地下水がある場合にケーシング内に封水されていた場合には、スライム処理が必要となることがある。

鉄筋籠の製作はアースドリル工法と同じであるが、籠を杭の中心に据えるために地盤と籠の隙間(150㎜以上が望ましい)に「スペーサー」金物を籠に取り付けてある。スペーサーは手棋院ではなく、FB(フラットバー、幅30~50mmの平鋼)が望ましい。

オールケーシング工法では、このスペーサーがケーシングに接触して、コンクリート打設の時にケーシングを徐々に引き上げる際に、鉄筋籠が「共上がり」することがあるので、大きさや取り付け位置精度など注意する。

コンクリート打設では「トレミー管」を用い、管理項目はアースドリルと同じである。ケーシングはコンクリートが打設されるごとに充填されたことを確認し、コンクリート打設分、徐々に引き上げる。余盛はアースドリルより少なくて良いが、0.5mは必要である。これはコンクリートの「ブリージング」発生するためである。

設計された高さまでのコンクリー打設後、6時間以上置いて「空掘り」部の埋め戻しををこない、ケーシングを完全に引き上げる。上部地盤の崩壊の恐れがない場合(空掘りは地価がないときは2m程度なので、地盤に粘着力があれば自立する)には、コンクリートとケーシングが付着してしまうのを回避するため、コンクリート打設着すぐに引き抜くことがある。

「全周回転機」は既存の建物や杭の撤去に使われると上述したが、市街地などの建て替えには欠かせない機械であり、解体撤去後も、杭工事(例えばアースドリルでも)期間中に「合番」機械として現場に置き続けることがある。













基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-リバース工法) [基礎構造]

リバース工法はロッド(鋼管)の先端に取り付けたドリルを回転させて地盤を崩し、ロッドの中を通して土を吸い上げ、掘削する方法である。掘削する孔内は清水で満たされており、土は水と混ざったスラリー状となって吸い上げられるのである。

清水は普通の水道水であるが、アースドリル工法で安定液(ベントナイトやポリマーを混ぜた泥水)に対して清水と呼んでいる。清水なので安定液より孔壁が崩壊を防止する効果は低いが、アースドリルのようにバケットを上げ下げしないことから、十分清水だけで孔壁の安定が保たれるのである。

掘削径は1000㎜~3000㎜、掘削深さは100m以上可能である。先端のドリルは上げ下げすることなくどんどん深く掘削していく(ロッドは順次継ぎ足していく)ことが出来るからである。深さが60mくらいより深くなるとアースドリル工法より掘削能率が上がるので、深い杭ほど有利となる。

リバース工法の利点はスライムが基本的に無いことである。アースドリル工法ではスライム処理にサンドポンプでスライムを吸い上げるが、リバース工法はまさにこのサンドポンプで掘削しているのである。

従ってアースドリルより支持層への定着や、コンクリートの品質が良いと言われており、土木工事では近年まで場所打ち杭はリバース工法かオールケーシング工法しか採用されなかった。

しかしアースドリルの弱点であったスライムの処理に「スライムクリーナー」という性能の良い機械が開発されてからは、スライムの問題は一応解決され、コスト上、土木工事でも徐々にアースドリル工法が採用されてきている。

リバース工法の短所は吸い上げたスラリーを土砂と水に分離する必要があることで、専用の分離スクリーンや多くの水槽が必要となる。この為、作業する敷地がおよそ2000m2以上はないと機械や水槽の配置ができない。

又、杭長さが短いと作業効率が悪いことも短所である。それはリバース機械の設置するには、水槽への配管は吸い上げる管と、分離処理された清水を戻す管の2系統を配管するのに時間がかかる(場内はクレーン車やダンプトラック、生コン車など通るので、配管の保護も必要なのである)ためで、やはり長い杭(少なくとも30mくらい)が採用するかのポイントとなる。

リバース工法にも支持層部で拡大掘削して支持力を増加させる、拡径杭工法がある。もともと拡径杭はリバース工法で先に開発され、後にアースドリル工法でも拡径機械が開発されたのである。拡径後(最大5000㎜)、設計通りに掘削できたかを超音波探傷試験(UT)で確認し、記録する。

掘削後の鉄筋籠、コンクリート打設はアースドリル工法と同じである。

スラリーを分離した土砂は「泥土」とみなされるので産業廃棄物として適正に処理(運搬、(中間処理)、処分)しなければならない。












基礎の種類-杭基礎(場所打ち杭-アースドリル工法) [基礎構造]

場所打ち杭とは既成杭とは異なり、現場で杭の孔を掘り、中に鉄筋籠を入れてコンクリートを流し込んで造成する杭のことである。場所打ち杭には以下のような種類がある。

アースドリル杭は建築では最も採用されている杭で、杭の径は800㎜から2500㎜まであり、掘削深度は60m程度まで可能である。杭の先端部を拡大掘削(5000㎜)して支持力を大きくした(30000KN)拡径杭も多く使われている。

掘削には円筒状のバケットをロッドにより回転させ、バケットにあるスリットに土を入れて、ロッドを引き上げて行う。バケットには0.5mから1m分の土が入るので、深さ分だけの掘削のための上げ下ろしが行われる。

地盤を掘削したときに崩壊しないよう掘削の都度安定液(泥水)を孔内に張り、泥水の圧力によって孔壁を保護している。安定液にはベントナイト(粘土)やポリマー(高分子)が調合されていて、地盤によって使い分け、さらに濃度、比重も調整する。

バケットの上げ下げによって泥水圧の急激な変化により孔壁が崩壊しないよう、バケットは掘削孔径より片側70㎜程度少ない。70㎜分はリーマと呼ばれる刃がついていて、地盤を崩してバケット内に土を入れる。

支持層に達したらバケット内の土が支持層であるか事前の地盤調査試料と比べ、目視確認して写真撮影して記録する。支持層に杭径または1m以上杭を深く施工する。

掘削終了後、底には「スライム」とよばれる土の成分が軟らかく堆積している。固い地盤と杭の間に「スライム」があると沈下の原因になるので、「スライム処理」を行う。スライム処理は先ず「底浚いバケット」でそこにたまったスライムを除去する。

次に、サンドポンプにより泥水と共にスライムを吸い上げ、泥水中に浮遊しているスライムも除去している。スライムが残っていないかを1㎏程度の錘を下げて底についた時の感触で確認する。支持層であれば錘がそこに着いたときすぐ止まるのでスライムがあるときと違うのである。

拡底杭の場合には、超音波探傷試験「UT」により、各底部の映像を出力させて確認し、記録する。

掘削している一方で、現場において鉄筋籠を組み立てる。杭に生じる曲げモーメントに抵抗するための「主筋」を「帯筋、フープ」で箍(たが)のように固定して作成する。組み立てに当たり溶接をする方法では、溶接工は有資格者でなければならない。

最近溶接工が少なくなってきており、特殊な治具を用いて組み立てる「無溶接方法」も採用されている。溶接による主筋を溶かしたり、雨天時には溶接ができないなどの問題に対しても、品質、工程上有利である。なお敷地が狭い場合には外部の工場で鉄筋籠を組み立て、現場に搬入することがる。鉄筋籠は嵩張るので、トラックに詰めるのは僅かなため、運送費がコストアップとなる。

組み立てた鉄筋籠を掘削が完了した孔に落とし込むが、籠の長さは11m程度のため、杭長によっては継ぎ足しが必要で、一般には籠の主筋同士を番線で結束して籠どうしを接合する。

コンクリートは地上で打設するのに比べ条件が悪いので、セメント量を増やしたり、単位水量を減らす、「スランプ」は18㎝以上とするなど、調合する。

コンクリートの打設には「トレーミー管、φ250㎜」を用いて行う。生コン車からトレミー間のホッパーにコンクリートを流し込むが、泥水中にコンクリートを流し込むと、コンクリートの骨材が分離してしまう。その為最初に「プランジャ」という薄いプラスチックの底がある筒上のものをトレミー管に入れて、そこにコンクリートを流し込む。トレミー管は常に打ち込まれたコンクリートの中に入っているよう管理し、コンクリートの分離を防ぐ。

泥水と接しているコンクリートは泥水や残っていた「スライム」を巻き込んでいるため、杭の天端は設計の高さより0.5mから1m高くコンクリートを打設して、後で解体除去する。高くすることを「余盛り」という。

掘削した土は泥状になっており「汚泥」として産業廃棄物処理が必要である。













基礎の種類-杭基礎(既成杭の施工方法) [基礎構造]

既成杭の施工方法は、打撃、埋め込み、回転貫入がある。

打撃工法はディーゼルハンマーという機械で、10t程度の錘(おもり、モンケン)を高さ2mくらいまで持ち上げて杭の頭を打撃して、地盤に打ち込む工法である。

モンケンは軽油を燃焼爆発させて持ち上げる。地盤が軟らかいときはモンケンの高さは低くて良いが、地盤が固くなると高くする。支持層近くになると1回の打撃での地下量は少なくなるからである。モンケンの重量と高さ、10回の打撃による1回あたりの貫入量の3つの要素から支持力を推定して、支持層に十分貫入したか確認する管理を行う。

打撃工法はコストが安いこと、支持層に十分貫入したか管理が容易なことが長所であるが、一方、打撃音、振動が周辺環境に影響が出ることが短所で、市街地では使われていない。

又、地盤を押しのけて貫入することから、地盤を締め固める効果があるが、逆に後からの杭が貫入しずらくなることがある。又、護岸近くで大量の打ち込みを行うと、地盤が移動して護岸が傾斜することがある。

総打撃回数はPHC杭で3000回を限度とする。鋼管杭については打撃回数の制限はないが、あまり回数が多いと効率が悪いことから、モンケンの重量の選定が重要である。

又、鋼管は先端がPHC杭に比べ材量の厚さが薄いことから、鋼管の中に入る込む土の摩擦力(閉塞効果)を期待しているが、径が大きいと閉塞効果が少なくなるため、建築では杭径は800㎜までが一般的である。

打ち込む杭は後述の埋め込み杭と異なり、排出土がないことから環境配慮工法(騒音、振動などの周辺環境については問題だが)ということもできる。

埋め込み工法とは、予め、アースオーガーという錐(オーガー)がついている機械で地盤に孔を掘削して、セメントミルクを充填しながら土を排出しつつオーガーを引き上げ、その孔に既成杭を落とし込む方法である(プレボーリング工法ともいう)。

杭径は1200㎜のPHC、鋼管を設置することが可能で、掘削深さは50m程度である。支持力を高めるため、支持層部分の掘削を、特殊なオーガーによって杭径を拡大して行う工法が最近では主流になっている。経済性が高いが、施工管理が難しいことから「評定」という審査機関による認定が必要な工法である。

施工管理としては、支持層まで掘削したかが重要で、一般にはオーガーを回転させるモーターが地盤が固いと負荷が掛かって、電流値が大きくなることで確認している。ただし例えば礫など粒径が大きい地盤では、大きな石に当たると電流値は瞬間的に大きくなる。しかし石があるだけでは支持層とは言えない。

瞬間的な電流値だけでなく、1mごとの電流値を積分した「積分電流値」を、施工機内に装着したPCで計算してモニターに表示して管理する方法が多くなっている。

又、セメントミルクの強度管理も重要で、現場プラントで作られたセメントミルクは、サンプルをとって、7日、28日強度を確認している。

又、実際にはセメントミルクは地盤中に注入されるので、土が少し混ざった「ソイルセメント」となるので、プレボーリングした後の底のほうから「ソイルセメント」を採取して強度確認を行う管理も多く行われるようになっている。

経済性から支持層部の杭径を拡大する工法では、拡大したかの確認が重要であり、拡大するための特殊オーガーごとに確認方法が定められ、審査機関の「評定」を取得している。

埋め込み工法では掘削土は排出され、それもセメントが混ざっていることから「汚泥」と見做された「産業廃棄物」になる。「産業廃棄物は」は総合請負会社(ゼネコン)が排出事業者となり、運搬業者、中間処理業者、最終処分業者が適正に処理したかを、「マニフェスト」という伝票で管理している。

「汚泥」の最終処分場が少なくなっており、廃棄処分ではなく「再生」が強く求められている。

回転貫入工法とは、鋼管杭の先端に「ねじ」の役目をする刃を取り付けて、回転するとそのねじ効果により地盤に貫入させていく方法である。ねじの役目の刃の形状によって、種々の工法が開発されており、各々「評定」を受けている。

鋼管の先端が塞がっているものと、空いている工法があり、空いているほうが大きな杭径を施工できる。施工機械も工法ごとに種々開発されており、杭径、掘削深さ、支持力、敷地面積(敷地が狭いと大きな施工機械は施工できない)などから、合理的な工法を選定する必要がある。

支持層に十分貫入したかの確認は埋め込み杭と同じ「積分電流値」や負荷による「回転トルク値」をモニターして管理する。最終的にはプリントして記録する。

回転貫入杭は排出土がないことから環境配慮技術である。材料の鋼管や先端の刃の加工にコストがかかることから、埋め込み杭に比べて市場は少ないが、環境問題や、鋼管材料が安くなれば(今後の世界市場では十分ありうる)、今後採用が多くなると予想される。













基礎の種類-杭基礎(既成杭) [基礎構造]

杭基礎を分類すると、既成杭と場所打ち杭に分かれる。

既成杭の材料は、工場で作られるコンクリートパイル(PHC)と、鋼管杭、コンクリートパイルに鋼管を巻いた鋼管コンクリート杭(SC杭)、木杭である。

先ず各杭の材料概要を以下に記述する。

コンクリートパイルはハーフパイプ状の型枠にプレストレス鋼材を円筒状に組み立て、そこに固練りのコンクリートを充填する。コンクリートはハーフパイプなので半分しか充填されないが、蓋の型枠(残りのハーフパイプ)をかぶせ固定し、回転させると、遠心力によりコンクリートが被せられた型枠にも回って、中空のパイルができる。

昭和30年代の終わりからコンクリートパイルが作られるようになったが、当初はプレストレス鋼線ではなく、鉄筋であった。鉄筋では杭を施工するとき(当時は打撃で打ち込んでいたあった)に破損したり、又、曲げ強度も小さかった。

その後、鉄筋の代わりにプレストレス鋼線にし、又、コンクリート強度も飛躍的に大きくして、型枠を組み終わった後すぐにプレストレス鋼材を引っ張り、その後、コンクリートを固まらせる制作方法が開発された。PHC杭である。

PHC杭は出来上がった状態ではコンクリートには圧縮応力が生じており、施工時の打撃により引っ張り力が生じてもコンクリートにひび割れが生じないのである。同じく、地震時などの水平力による曲げモーメントが作用しても、抵抗力が大きい。

PHC杭は当初は直径が600㎜までであったが、最近では1200㎜までのものが作られ、大きな鉛直支持力と曲げ耐力、剪断耐力があり、のちに説明する「場所打ち杭」に匹敵するようになってきている。

鋼管杭は昭和40年代から使われてきたが、コンクリート杭に比べて施工時の破損が少なく、より深くまで施工できることがメリットで、支持層の深い沿岸部での建物に多く採用されてきた。

鋼管杭の問題は鋼材の腐食である。鋼材は暴露していると一旦錆が生じると腐食が進んでしまうが、地盤中に設置された鋼管では空気の補充がないためほとんど腐食しないことが10年かけた実験で実証された。

しかし酸性が強い地盤や、電車のそばでは地中を電流が流れる(迷走電流)ことがある場合などでは腐食が進んでしまうので、(一応対策はあるが)一般には採用はできない。

鋼管杭は建築では打撃方法の機械の性能(土木では大きな打撃機械があった)から800㎜までがほぼ限界の大きさだあったが、最近では打撃ではなく、あらかじめ穴をあけで後から落とし込む方法など(他の方法は後で記述する)で、1200㎜までの鋼管が施工されている。

PHC杭は曲げ耐力、剪断耐力が大きいが、大地震の際にはきわめて大きな水平力が杭に作用することから、鋼管を巻いたコンクリート杭が開発された。SC杭と言われる鋼管コンクリート杭である。杭径も1200㎜まで認定されており、「場所打ち杭」に匹敵するようになって来ている。

木杭は所謂「丸太」を地中に押し込んで作る杭で、コンクリートパイルができるまでは木杭が多く使われてきた。大正から昭和初期の大きな建物の基礎にも使われていて、東京駅にも1万本の木杭があった。

木杭も鋼管と同じく腐食の問題があり、これば地盤中の微生物によるものであるが、地中に水が絶えずあると微生物は活動できない。建て替えられた建物から掘り起こされた木杭がほとんど不朽してなく、再生利用される例もある。

現在では木杭は仮設建物の杭に多く利用されているが、里山の間伐材を杭に使う活動が起きている。最近話題の新国立競技場の屋根材に採用されたり、日本産の割りばし、爪楊枝などと同じく間伐材の有効利用は、里山の森林保全のための有効な活動として評価されている。













基礎の種類-直接基礎 [基礎構造]

基礎の種類について解説すると、先ず、大きくは直接基礎と杭基礎に分けられる。建物を支持できる地盤、支持層に対して建物荷重を伝達されるのを「直接基礎」といい、長さのある杭を支持層まで施工して建物を支える方法を「杭基礎」という。

直接基礎を分類すると、建物の建築面積全体で支持層に支持させるのを「べた基礎」という。一面全体に荷重を分散させるからこの呼称となった。

柱下に矩形の基礎を作りその矩形の面積だけで建物荷重を受けるのを「独立基礎」という。支持地盤が建物荷重に比べて十分以上に強固な場合には「べた基礎」より「独立基礎」のほうが経済的である。

工場などの柱間隔が長い場合によく用いられるが、住宅においても主要な壁の下にしかコンクリートの基礎はなくて、その間の910㎜間隔ごとには束立てをして床の根太を支えている。これは独立基礎なのである。今は住宅では建築面積全部にコンクリート版が作られているが、これは防湿の簡単からで、「べた基礎」ではない。以前は束立てには「束石」が置かれていた。

「べた基礎」と「独立基礎」の中間というべきものに「布基礎」がある。これは柱芯に沿って幅を持つ連続した基礎で、建物荷重と支持層の強度の相対的な比較検討において採用される。住宅の場合の基礎はほとんどが「布基礎」である。前述の全面に打設されたコンクリート版は、「べた基礎」の様に見えるが配筋は少なく構造強度は足らない。

住宅の底版は一般に厚さが170㎜程度で、鉄筋の太さが13mmのD13が200㎜間隔に格子状に組まれている。この構造では、「べた基礎」の耐圧版としては、基礎梁の間隔が2m程度でなければ成立しない。もしくは6畳間の周りに基礎梁があれば、耐圧版として有効である。

直接基礎は支持層に耐圧版、基礎が接しているが、支持層まで杭を築造するほどでもない場合、支持層までの土を改良して支持層以上の強度のする方法がある。これには「置換工法」と「地盤改良工法」がある。

「置換工法」は強度の少ないコンクリートや、砂利に置き換えることで建物荷重を支持層に伝えるものである。砂利に置き換える場合、十分転圧するのだが、その強度を確保する、あるいは確認することが重要で、一般にはごく部分的に支持層が現れなかった場合に採用される(例えば当初の掘削後、支持層である礫層の上にまだ粘性土があった場合に、粘性土を除去するなど)。

従って置換工法の材料では、低強度の18N/mm2の普通コンクリートが使われていたが、最近では再生コンクリートや流動化処理度が使われている。これは建設材料(他の産業の材料に比べ建設材料は大量な材料なのである。自動車1台が1.5ton、200万円とすると、土の1.5tonは約1m3で、4000円くらい)に環境配慮が求められているからである。

「地盤改良工法」は支持層までの間の土に、セメントと水を混ぜたセメントミルクを混合・攪拌して、ソイルセメントにして強度を作り出す工法である。混合攪拌のための施工機械は近年急速に開発されており、現地の土を改良するため、置換工法のように現地発生土が大量に出ることがなく、これも環境配慮なのである。










地盤構成 [基礎構造]

地盤は様々な種類の土によって構成されている。日本は国土の70%が山で、残りの平野部は長い年月をかけて、火山活動による隆起や火山灰の堆積、あるいは河川から山が削られた土砂が流れ込み、あるいは波浪による浸食を受けてできている。従って日本の地盤構成は複雑なものとなっている。

地盤を構成する土は粒子の大きさによって分類されている。直径が75㎜以上を「石」2.5㎜以上を「礫」、0.075mm以上を「砂」、0.005mm以上を「シルト」、それ以下を「粘土」と呼称している。砂についてはさらに「粗砂」「中砂」「細砂」と分けることがある。

このように土を分類しているが、自然の土は単一に「砂層」というのは少なくて、礫が混じっていたり、粘土が混ざっていたりする。「礫混り砂」「シルト質粘土」など主要分が「砂」「粘土」に対して、形容詞的な「礫混り」「砂質」などをつけて表記する土が多い。赤土と呼ばれる「関東ローム」は富士山の火山灰であるが、ロームとは砂、シルト、粘土が各々1/3づつ混ざった土で、国際用語である。

土を粒子の大きさで分類したが、ほかの物理的性質としては、砂や粘土などの粒度分析や密度、含水比などがある。密度でいえば、砂や礫で1.7~2.0g/cm3、シルトで1.5~1.7g/cm3、粘土で1.4~1.6g/cm3である。これは概略設計時の仮定値や、実際の地盤調査での結果を評価するときの目安となる。

又、土の性質として重要なのは力学的性質(力学も物理の範疇なのだが、どういうわけか土質力学ではこのように分けている)である。砂の力学的性質としては「摩擦力」の大きさである。地中の砂には上部の土の重力が加わっているが、そこに例えば地震力である水平力が加わったときに、滑らないよう抵抗するのが摩擦力である。

摩擦力は「角張った粒子の(砂)、礫」「空隙の少ない砂(粒子が不均一で大小の粒子が空間を埋め尽くしている)」は大きい。空隙が少ない砂は「締まっている砂」であり、緩い砂は空隙が多く、空隙に水が満たされていると、地震時に「液状化」しやすいことになる。

粘土(シルトも含む)の物理的性質の第一は「粘着力」の大きさである。粘土は粒子同士が吸着水によって結合されており、その結合力により「粘着力」の大きさが違ってくる。地中の粘土も地震時には水平力に抵抗するが、砂のような「圧力」に対する摩擦力ではなく、「圧力」に関係ない「粘着力」が」抵抗することになる。粘土で粘着力が大きい土を「固結粘土」「固結シルト」などと呼称する。さらに固い場合は「泥岩」「頁岩」となる。

粘土は砂に比べ密度が小さいのは、粒子の密度の違いではなく、空隙率が大きいためで、粒子が結合していること、中に水が存在していることからこの空隙の体積が保たれている。しかし結合力が小さいと、少しづつ空隙内の水が排水されて空隙が小さくなる。すると土の体積が小さくなり、結果、地盤沈下現象となる。これが「圧密沈下」である。

浦安にあるデズニーランドは軟らかいシルト層の上に埋め立てられており竣工して30年経つが、地盤沈下は続いている。各建物(工作物)は杭を打つとか、地下室(基礎梁を深くする)を作ることで船のように浮いている構造とする等、地盤沈下に対応している。










地名と地盤 [基礎構造]

2014年8月20日に発生した広島県の土石流災害は瞬く間に家屋を押し流し、76名の方が亡くなられた。災害の規模は衝撃であったが、発生した場所の地名にもまた驚かされた。現在の地名は例えば安佐南区八木地区であるが、山の斜面を切り開いて作ったこの分譲地は地名を変えており、以前は八木蛇落地悪谷という名前であった。

この地名は、昔より山の神様のお怒りに触れたとき、大蛇となって現れた自然災害(土石流は)を伝承するための名前でなのである。8つの頭を持つヤマタノオロチ伝説も土石流のことであろう。

地名はそれぞれ由来があり、例えば歴史上の人物や出来事等があって、必ずしも災害の教訓として付けられた訳ではないが、地形などを含めると過去の災害や、地盤の性質などを先人たちが経験から学び取った由来が多い。ここでは地名と地盤の関係が深い幾つかを紹介する。なおあくまで推測であることをお断りする。

「青」は湿地を示しているといわれ、少なくとも表層は軟らかい地盤である。池上、保土、霞ケ浦などの「浦」がつく地名や江田、小田、久保田(窪田の改名と言われる)などの「田」がつく地名、矢沢などの「沢」も同様のようである。これらの地名の地盤では、建物の支持層としては一般には好ましくない。直接基礎ではなく、杭基礎あるいは地盤改良などの基礎が必要となる。おそらくこのような場所は地価は安いはずなので、その分基礎にお金がかかっても仕方ないと考えるしかないと思う。

ただし建物の基礎の問題だけではなく、洪水や海辺や海に近い河川が近い場合には、大地震時の津波の恐れも考えられる。

洪水については市の建築課に聞けば、過去に洪水があったかを教えてくれるはずである。あるいは国土地理院のHPからその土地の標高を調べて、周りに比べて窪地になっていないかを自分で確認する必要がある。なお、洪水については湿地などの低地でなくとも、下水管の設計がどの程度の降雨量に対して設計されているかによっては、最近の異常気象での集中豪雨で、1時間に100㎜を超すような場合、どこでも洪水の可能性は覚悟するべきである。

「小豆(あずが崖崩れの跡を意味する)」「柿(かく、欠けの変化)」「金=礫」「猿(ざれ=礫)」「貫(土石流が起きたところ)」「萩」「柳」「青」「柏」「栃」「早」「坊」などがつく地名は傾斜地を示している場合が多い。土石流や長雨時の崖崩れなどが懸念されるので、これも市の建築課に聞いてみるべきである。危険な崖については「急傾斜地危険区域」として指定されている場合があるので、そのような土地は住宅にはお勧めではない。交通の便など利便性から決めるのであれば、地下室を作り、さらに強固な基礎杭を築造するなどの対策が必要である。最もこれらの対策でも限界があることは銘記すべきだろう。

なお良好な地盤を示す地名として例えば「岡」「丘」がある。1968年に発生した十勝沖地震では大きな被害をもたらしたが、その中で函館大学が建物が崩壊した。その時NHKの番組で、前回紹介した大崎順彦博士は建物の崩壊は地盤が原因ではない、と解説した。大崎博士は函館大学の地盤をご存じなかった。しかし函館大学の住所が函館市高丘町と聞いていたのである。

参考資料:日本建築学会「小規模建築物基礎設計指針」、「民俗学の広場、地名の由来」HP










地盤・支持層 [基礎構造]

基礎には直接基礎と杭基礎があるが、どちらにしても地盤の強度に期待して成立する。基礎が期待する地盤を支持地盤、そして地盤の土の種類に対して同じ土の層に期待する場合、その層を支持層という。

支持層としては、例えば東京では「東京礫層」と呼ばれる砂礫層がある。「東京礫層」は場所によって深さ20m~80mくらいに分布している。「東京礫層」と呼ばれるようになったのは、大崎順彦博士らによる膨大な地盤調査結果を纏めた「東京地盤図」である。

地盤図により地域の地盤状況が分かるので、概略設計する際に基礎形式の選定ができたり、軟弱層がある場合には、地盤沈下や液状化の推測も可能となる。さらには巨大地震が発生したとき、地震源からの距離、マグニチュードから、設計する地域でどの程度の地震動(強さ、継続時間、振動周期など)となるかの推定も可能となる。東京地盤図を嚆矢として、全国各地で地盤図が作られた。

しかし地盤図だけでは概略設計しか出来ない為、設計を進めるには地盤調査が欠かせない。支持層がどのくらいの深さに存在するかは分からないからで、横浜のマンションで杭が支持層に達していなかったのは調査はしたものの、支持層の起伏が大きく、調査個所数が少なかったためと考えられる。

住宅の設計では簡便な「スエーデン式サウンディング」が多く、大きな建物の場合には「標準貫入試験」が行われる。この「標準貫入試験」はボーリングマシンにより、直径75㎜程度の孔を掘っていき、深さ1mごとに標準貫入試験を行い、土の相対強度を計測する。

相対強度というのは、標準貫入試験は0~60までの値(N値)が得られるが、土が粘性土か砂質土かによって、同じN値でも強度は違うからである。粘性土では同じ支持力があっても、砂質土よりN値が小さくなるため評価が難しい。粘性土を支持層とするには土のサンプルを採取して、試験室で粘着力や圧密係数などの力学試験を行う必要がある。

砂質土の場合はN値によって支持層として評価が可能である。概ねN値が30以上が支持層となるが、杭の先端の支持層としては50以上の砂質土で、厚さは概ね5m以上必要である。超高層ビルで直接基礎とするのもN値50以上の例えば「東京礫層」で、日本最初の超高層ビルの霞が関ビルも「東京礫層」が出現する深さまで掘削し、地下室としている。

昭和50年代までの超高層ビルは、支持層が出るまで地下を深く掘って直接基礎としていた。これは地震時に支持層に伝搬した振動を直接建物に伝わらせるためで、杭基礎では支持層の上部の軟らかい層で地震動が増幅するため、設計が難く(地盤の動的な挙動の推定が難しい)、不確定要素(地盤の性質以外にも例えば想定地震力、建物の減衰性など)はできるだけ排除したのである。

しかしながら昭和60年代からは、特にマンション(地下室を作ってもあまり用途がない)や沿岸部の建物(支持層が深い)では地下室を深く掘るのは経済的ではないことから、杭基礎の超高層ビルが多く建てられている。200年~500年に一度の巨大地震に耐えうるような杭が設計されているが、霞が関ビル建設時の知見はどうなったのであろう。